スラムダンク奨学生、新たな夢への第一歩。NCAAデビューを果たした須藤タイレル拓「これが自分の選んだ道」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by Reily Rogers@NIU

── バーノHCに須藤選手の一番の強みは何かと聞いたら、以前から評価されることが多かった運動神経よりも先に、ディフェンスのコミュニケーションを最初にあげていました。それは今、自分でも意識していることですか?

「そうですね、人間なので無言でテレパシーなんてできないし、しゃべらないと何も伝わらないので。それは夏からずっと課題だったんです。もう、ひたすら夏からずっと大声を出して、声が枯れるまで毎日やって......」

── 新入生でも率先して声を出すというのは、セントトーマスモアを経験してきたからできることですか?

「セントトーマスもそうですし、高校(横浜清風高)でもずっとそういう感じでした。フルコートでプレッシャーをかけて、ディフェンスではしゃべって声をかけて、そこからすぐ速攻みたいなプレーだったので。当時それを僕ができていたかってなると、たぶんできてないんだろうなとは思いますけど。ディフェンスはすごく苦手だったから。

 でも、やっぱりそういう経験があったからこそ、僕はしゃべることの大事さを知っています。小さなことですけど、ずっと声を出し続けて、それが一番大事だっていうのを、やっぱりみんなにわかってほしいなと思いますね」

── 開幕戦では、短い時間ながらフレッシュマン(1年生)のなかで唯一、試合に出ることができました。

「それでも(わずか3分11秒の出場時間に終わったことは)ムカつきますね。だから、練習で証明しよう、試合に出さざるを得ない選手になろうって思っています。フレッシュマンで、大学バスケに入ったばっかりで、いきなり多くの時間をもらうのはなかなか難しいことだっていうのはわかっています。それでも、そこであきらめちゃいけないっていうか。

 そのとおりにならなきゃいけないっていうルールはない。まだここからシーズンは始まったばっかりなんで、ここから先、チームを助けられるような選手にならなきゃなって思います。結局、試合に出るかどうかは、その時の自分次第。それは(ノーザンイリノイ大に)来る前からわかっていたので、このチームを上に上げたいなと思っています。これが自分の選んだ道なので」

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