角田裕毅の「ドライバースワップ騒動」で霞んだRBの問題点 10位入賞のチャンスをみすみす逃した (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【明らかな戦略ミス。角田はすでに手遅れだった】

 その抜いた相手であるストロールが10位入賞を果たしているのだから、角田にも入賞のチャンスは十分にあったのだ。10位を走っていれば、ドライバースワップ騒動もなかったはずだ。

 27周目という極めて早いタイミングでピットインしたストロールに対し、RBは反応できなかった。いや、次の周に反応してピットインしても、もはやストロールをカバーしてポジションを守ることはできなかった。

 だから、再び1周でも長くステイアウトしてタイヤ差を作り、最終スティントのコース上で逆転するしかなかったのだ。事実、角田の0.8秒前にいた周冠宇が翌周ピットインし、かろうじてストロールの前で戻っている。つまり、角田はすでに手遅れだったのだ。

 なぜなら、新品タイヤに履き替えたストロールのペースが予想以上に速かったからだ。RBはそのペース差を読みきれていなかったから、2.7秒のギャップで十分だと思っていた。しかし、実際には違った。

 各車のペースはほぼ横ばいで推移していたが、それは路面もどんどん向上していたからで、実際にはタイヤは大きく性能低下が進んでいた。1周あたり0.1秒低下するなら、新品に履き替えれば2秒は速くなる計算だ。

 その路面の改善を読み誤り、デグラデーションも読み誤った。だから、ストロールとの間に十分なギャップを築けず、逆にアンダーカットを防止する唯一の方法である「先にピットインする」という戦略を採ることもできなかった。

 RBのこうしたタイヤの読み間違いによる戦略ミスは、最近でも昨年のオランダGPや日本GPでも起きている。タイヤに関するエンジニアリングを見直すのが急務と言える。

 上位4チーム8台は圧倒的な差があり、追いつけない。しかし今回のように、中団トップにいれば入賞のチャンスが巡ってくることもある。

 しかし、中団グループの4チームは極めて僅差で、実際にQ1で敗退した周冠宇が戦略をうまくやることによって中団トップの11位を獲得できるくらい、タイトな争いだ。

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