2023年のF1を象徴するトピックス10「ベッテルを抜いて歴代3位」「驚異のルーキー現る!」 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 通算勝利数は54に伸ばし、51勝のアラン・プロストや53勝のセバスチャン・ベッテルといった偉大なドライバーたちの記録を上回りました。1951年のアルベルト・アスカリやベッテルが打ち立てた最多連勝記録も抜いて10連勝をマーク。

 間違いなくフェルスタッペンはF1史上に残る偉大なドライバーのひとりですが、惜しむらくは、マシン性能という点においてライバル不在という状況。「セナとプロスト」のようなよくも悪くもヒリヒリするような好敵手がいれば、フェルスタッペンのすごさや記録はもっと高く評価されるはずです。2024年はそんなシーズンになることを期待したいと思います。

【3】マクラーレンが大躍進。脅威の新人・ピアストリ!

 フェラーリとメルセデスAMGは2022年新規定で成功できなかった独自コンセプトを継続したものの、結局モノにできずシーズン途中で断念。それに対し、マクラーレンは時にトップ争いに絡む大躍進を果たしました。

 マシン開発に失敗したマクラーレンも、シーズン開幕時点では下位に沈んでいました。しかし、開幕前の段階でテクニカルディレクターをはじめ、技術体制を刷新して出直しを図りました。

 第10戦オーストリアGPでフロアを刷新して、ようやく本来の開幕仕様を投入。まずはダウンフォース量を増大させることを優先し、そこから第16戦シンガポールGPでさらに第2段階のアップデートで低速コーナーやドラッギーさといった弱点を潰し込んでいきました。

 急激なV字回復を果たしたように見えたマクラーレンですが、実は大きなアップデートはこのふたつだけ(第11戦イギリスGPでは前戦で間に合わなかったフロントウイングも改善)。この2回のアップデートをしっかりと成功させて大きなジャンプアップを果たしたのは、アンドレア・ステラ新代表の下で3部門の合議制によるマシン開発を進める新体制が非常にうまく機能していることを表わしています。

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