2023年の角田裕毅を元ホンダF1トップはどう見たか? 2024年の勢力図を予想 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

── 逆に課題だと見えた点は?

「フィジカルだけでなく、メンタル的にも、まだ自分に見えていない部分も多いかなと思います。たとえば、ラスベガスGP(第19戦)の予選で怒って、ヘッドレストを投げ捨てていたシーン。

 たしかにチームが送り出したタイミングも悪かっただろうけど、角田くんもトラフィック(集団走行)のなかでうまく処理できなかったわけで。チームのミスをリカバーできなければ全体責任なわけですから、そこで腹を立てている場合ではないんです」

── メンタル面のコントロールは本人もかなり意識していましたが、同時にまだ課題でもあることは認識していました。

「序盤戦は『チームリーダーにならなきゃ』という意識も強くて、落ち着いたレースができていたように見えていた。だけど、(リアム・)ローソンと組んだあたりから落ち着きがなくなって、ミスも増えてきた。

 変な言い方かもしれないけど、チームを運営しているのはロボットではなくて人間なので、『こいつと一緒にレースをしてよかったな』と、チームの人間を喜ばせるようなドライバーじゃなきゃいけないんです。

 そういう点でいえば、3年目の角田くんは総じていえば成長しているけど、まだ子どもっぽい部分がある。そこは彼の人間的な魅力でもあるんだけど、真のプロフェッショナルなレーシングドライバーとしては、さらに成長しなければいけない部分なのかなと感じました。

 F1ってチームスポーツであり、総合力で戦うものから、チームのみんなに『角田を表彰台に立たせたい!』って思わせなきゃいけない。マックスにしても、ルクレールにしても、アロンソにしても、そこは明らかに違うんですよね。角田くんもアルファタウリというチームをそうしなきゃいけないと思います」

── FIA F2に参戦した岩佐歩夢はランキング4位となり、F1参戦に必要なスーパーライセンス取得要件を満たしました。

「F1に一番近くて可能性を持っているのは、岩佐歩夢ですよね。ただ、まだギリギリで合格ラインを通過したという感じで、2年目のF2に挑むなら、本当ならチャンピオンを獲るしかないんです。角田くんの場合はF3もF2も1年で卒業したので、そういう意味では今回、F1に昇格できなかったのも仕方がないと思います。

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