強い3歳世代。マイルCSで「新マイル王」の座に就くのはセリフォスか、ダノンスコーピオンか (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sankei Visual

 まずは、両馬がともに好走した富士Sをどう評価するか。関西の競馬専門紙記者はこう語る。

「富士Sは古馬もそれなりにメンバーがそろっていたし、トライアルとしてはハイレベルの一戦だったと思います。そのレースで、セリフォスは1着、ダノンスコーピオンは3着と結果を出した。どちらのパフォーマンスも高く評価できるし、これで『本番も楽しみになった』と言えるのではないでしょうか」

 次に、2頭の力量比較はどうか。セリフォスとダノンスコーピオンは、この富士Sを含めて、これまでに3度の対戦がある。結果は、セリフォスの2勝1敗。だが、その1敗は「3歳マイル王決定戦」のNHKマイルCだった。

 加えて前走の富士Sにしても、セリフォスの斤量が54kgだったのに対して、GI馬であるダノンスコーピオンは2kg重い56kgを背負っていた。しかも、セリフォスにやや展開が向いていた。

 そうしたことを踏まえると、両者の力量はほぼ互角と言える。その点について、先の専門紙記者も同意し、2頭についてこんな見解を示す。

「セリフォスは、どんなレースでも安定して自分の力を発揮できるタイプ。一方、ダノンスコーピオンは時々体調を崩したり、まだうまく力を出せない時がある。ただその分、成長力という点ではセリフォスを上回るものがある。

 両馬の力量は互角でも、個性という点では"安定"のセリフォス、"成長力"のダノンスコーピオンという違いがあるように思います」

 専門紙記者は続けて、前走の富士Sをトライアルとして見た場合、評価できるのは「勝ったセリフォスよりも、むしろ敗れたダノンスコーピオンのほう」だと言う。

「ダノンスコーピオンはセリフォスよりも2kg重い斤量を背負いながら、馬群を早めに抜け出して、それでどれだけ我慢できるかというレースをしました。結果、差されましたが、トライアルで大事なのは勝ち負けよりも、いかに本番につながるレースができるか。その意味で、ダノンスコーピオンはまさにトライアルらしい、いいレースをしたと思います」

 ともあれ、2頭とも富士Sのあとも順調で、休み明けを一度叩いたことで、もう一段階上の良化を見せているという。

 となると、残る問題はあとひとつ。古馬相手に勝てるかどうか。

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