【競馬】12年前の再現か。皐月賞は「第2のノーリーズン」を探せ! (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

 その他、2歳チャンピオンの4番人気アドマイヤドン(父ティンバーカントリー)は、初の敗戦(3着)となった前走の若葉S(阪神・芝2000m)から巻き返せずに7着。また、重賞2勝、3着以下のなかった5番人気チアズシュタルク(父サンデーサイレンス)は、大外18番枠が響いたのか、12着に敗れた。

 ハイレベルと見られていた有力馬たちが、それぞれ抱えていた「不安」。それらが露呈される中で、大金星をつかんだのがノーリーズンだった。

 ノーリーズンは、それまで3戦2勝。デビューから連勝すると、2番人気でトライアルの若葉Sに向かった。しかし、ここでは7着に敗退。その後、抽選で皐月賞の出走権を獲得するも、前走の負け方から大きく人気を落とした。

 だがノーリーズンは、皐月賞で見違える走りを見せた。1枠2番という枠順を生かして道中はインコースを進み、先頭でゴールイン。1分58秒5の好タイムで駆け抜けたのだ。おそらく若葉Sの凡走は、能力的なもの以外が理由だったのだろう。こうして、大波乱は生まれたのだった。

 なお、ノーリーズンとコンビを組んでいたのは、イギリス人ジョッキーのドイル騎手。外国人騎手の勝負強さを、改めて際立たせた一戦でもあった。

 今年の皐月賞メンバーを見渡すと、確かに有力馬は精鋭ぞろいだが、2002年と同様に「不安」を抱えている馬が多い。

 トゥザワールドの不安は、多頭数のレース経験がないこと。皐月賞は18頭立てだが、同馬がこれまで経験したレースは、最大で13頭立てだ。また、トーセンスターダムとイスラボニータは、中山でのレースが今回初。イスラボニータに至っては、右回りのレース自体が未経験だ。

 ロサギガンティアは、前走で見せたスタートの出遅れや、その出遅れを挽回させたM・デムーロ騎手から乗り替わることも、わずかながら「不安」に映る。アジアエクスプレスの場合は、父へニーヒューズが短距離で実績を残した馬だけに、初の2000mという距離が課題となる。

 一見、心配のなさそうなワンアンドオンリーにも、気がかりはある。速いタイムへの対応だ。今春の中山はタフな馬場状態で、遅いタイムの決着が多かったが、先週から芝コースの様子が一変。急激にタイムが高速化してきた。

 ワンアンドオンリーが勝ったラジオNIKKEI杯2歳Sは、水分を含んだ「やや重」。前走の弥生賞も、先述したタフな中山の馬場で行なわれた一戦だった。それが、先週からの馬場良化により、皐月賞はタイムが大幅に早くなる可能性がある。その場合に、どこまで対応できるか。

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