カンボジアにわずか3得点。日本の余裕のなさは何に起因するのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 いかにプレッシャーに襲われようとも、カンボジアにホームで勝利を逃すことはない。不運が重なっても大丈夫。

 にもかかわらず、ハリルジャパンは、90分間、勤勉、真面目、忠実に、言い換えれば、慌てふためきながらプレーした。結局、3点しか奪えなかったことは、その余裕のなさに原因があると踏む。

 試合後、監督はこう述べた。

「私は勝利を要求し、それに応えた選手にはおめでとうと言いたい」
「今夜はネガティブな気持ちになれない」

 大仕事を終えた後のように、ホッと胸をなで下ろすハリルホジッチ。どれだけ余裕がなかったのか。心配になるのはむしろ監督だ。これが「決勝戦」ならそれでもいいが、戦いはまだ始まったばかり。実質的にはまだ始まっていないと言っていい。

 この超低レベルの組で日本は2位以内に入れば、最終予選に進むことができる(正確には各組2位のうち成績上位の4チームが最終予選に進出)。シンガポールにホームで引き分けたことは事件に相当するが、事件が起きても、大局的に見れば小さな問題だ。日本代表を取り巻く環境はそれほど緩い。どんなにドジを踏んでも、落選することはない。といえば、「サッカーは何が起きるか分からない」と言い出す人が必ずいる。だが、限りなくゼロに近いにもかかわらず、そう言ってしまうと、4年間を計画的に過ごすことはできない。

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