【なでしこ】東アジアカップ初戦。中島依美が感じさせた「新戦力の可能性」 (2ページ目)
徐々に日本ペースになりかけた前半34分、佐々木監督がここでカードを切ろうとする。準備をしているのは6月のヨーロッパ遠征でもキレのあるプレイで新戦力として急成長中の中島依美。交代表示は安藤梢。しかしその直後、中央でタメを作っていた大儀見のパスが裏へ抜け出た安藤へ通る。落ち着いてGKとの1対1を制した安藤の3年ぶりとなるゴールで日本が先制に成功する。この交代劇は衝撃だったが、「息遣いや走りのバランスを見てケガをしたら困ると思った」という佐々木監督の判断だった。そして、送り出した中島が追加点を挙げることになるのだから、ギリギリのタイミングではあったが、采配が当たったということになるのだろう。
このふたりがスコアをマークしたことは大きい。2010年のアジアカップ予選以来のゴールとなった安藤は現在31歳。今回のチームで最年長だ。生粋のゴールゲッターながら、時には身を挺して、味方の好機をアシストする。ゴールに対する想いは人一倍強い。それでも3年もの間、ゴールから見放されてきたことで、常に苦しんできた。その苦しみが重圧となり、悪循環を生むことも。6月に鳥栖で行なわれたニュージーランドとの親善試合でも、明らかに身体のキレがなかった。それでも、ヨーロッパ遠征でコンディションを上げ、比例するようにパフォーマンスの質も上昇傾向にあった。その先に生まれたゴールだっただけに、交代は想像していなかった。「調子はよかったんですけど(苦笑)」(安藤)。それでも、右サイドのプレイに留まらず、状況に応じてトップに上がったり、ボールを受けに下がったりと、豊富な経験を駆使した動きは目を引いた。
そして代わって入った中島のゴールは、いつもの宮間と大儀見のアイコンタクトからスタートした。宮間からのボールをやや右よりのスペースで受けた大儀見を見て、中央に走り込んだ中島。つながると、DFを交わして左足で沈めてみせた。「中島は右も左も蹴れる。いいところで決めてくれた」と、このゴールには指揮官もご満悦。後半12分のいい時間帯での追加点ということもさることながら、宮間―大儀見のホットラインのビジョンに反応し、それが得点につながったことに注目したい。
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