久保建英、暴力的守備が増加するなかでチームを離脱 日本代表に招集する意味とは (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【最大で10試合を欠場】

 久保はモーションが小さく、シュート、ドリブル、パスといった次のプレーが読みにくい。誘って裏を取るなど、無限にプレーをキャンセルして別の選択肢を採れるのだ。だからこそ最大のダメージを与えられる。

 35分、ラ・レアルはGKアレックス・レミーロが決定機阻止のエリア外でのハンドで退場後、ひとり少なくなったが、久保がいることで思うようにはさせなかった。アラベス陣営はむしろ左サイドの守備を強化するため、サイドMFを交代。スコアレスのままだが、ラ・レアルは優勢だった。

 後半に入って56分、久保は敵陣で文字を描くような不規則ドリブルで相手を翻弄し、スビメンディのミドルをお膳立てした。騎兵が敵陣内を蹂躙するようだった。そこで相手は力づく、反則まがいのディフェンスで止めに来た。

 75分、ラ・レアルは一瞬の隙を突かれる形で、エリア内の接触から相手にPKを与えて先制点を奪われる。

 これで久保はギアを上げた。相手の左サイドバックに居合抜きの要領で足を出させて"後の先"を取り、右サイドを抜け出すなど。ひとり少ないチームに活力を与えた。アディショナルタイム、交代出場のアンデル・バレネチェアが左サイドでボールを奪ってカウンターを発動させると、折り返しのこぼれ球を久保は左足で狙い、バーを揺らした。

 ラ・レアルはその勢いを駆って、終了間際のスビメンディの一撃で同点に追いついている。

「アラベスDFにとって、久保は終始"迷惑者"になっていた。特に試合終盤は顕著だった。バー直撃のシュートは幻のスーパーゴールだったが、ゴールに迫り続けた。またも酷いファウルで止められるシーンがあって、傷を負ったままアジアカップへ行くことに......」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、全面的に久保を擁護。出場選手で最高の二つ星(0~3の4段階)をつけた。そしてエース級の選手が、この時期にチームを離れる状況を憂えていた。

 1月13日に開幕するアジアカップに日本代表として出場するため、久保はラ・レアルを離れる。2月11日の決勝に進出した場合、最大10試合を欠場。ラ・リーガだけでも、バルセロナやレアル・マドリードとの一戦よりも重要度の高い次節のバスクダービー、アスレティック・ビルバオ戦を皮切りに、セルタ、ラージョ・バジェカーノ、ジローナ、オサスナ戦を欠場予定。スペイン国王杯は勝ち上がり次第で4試合を棒に振る。

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