三笘薫、ブライトンのELベスト16進出に貢献 遠藤航ほか日本人選手は明暗分かれる (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【鮮やかな中央突破だったが...】

 ガットゥーゾ、そしてインテルのシモーネ・インザーギはともにイタリア人監督だ。彼らの現役時代、イタリアのサッカーはいま以上に守備的だった。俗に言うカテナチオの名残を、この2人の若手監督に見て取ることができた。

 ただし、ブライトンのロベルト・デ・ゼルビもイタリア人監督だ。こちらは非カテナチオである。アリゴ・サッキやズデネク・ゼーマン、ルチアーノ・スパレッティの系列に属する攻撃的サッカーの信奉者である。

 ブライトンはイングランド、マルセイユはフランスのクラブだが、この一戦はサッカー的には"イタリア対決"そのものだった。勝利するのは攻撃的なイタリアか、守備的なイタリアか。

 レアル・ソシエダのバスク人監督、イマノル・アルグアシル監督とデ・ゼルビ監督は、攻撃的サッカー系同士になる。5バックを崩すことができるのはどちらの攻撃的サッカーか。コンテストを見ているようだった。

 ブライトンに0-0の均衡を破る、1位通過を決める決勝ゴールが生まれたのは後半43分で、決めたのはジョアン・ペドロ(ブラジル代表)だった。攻撃は鮮やかな中央突破だった。ショートパスをテンポよく繋ぎながらの洒落たゴールだった。しかし、それは"外があったからこその内"だった。サイド攻撃を丹念に繰り返した結果、最後の最後に中が空いたという感じだった。

 左のサイド攻撃で主役を担った三笘は、その意味で貢献度大だった。前々日、インテル相手に右のウイングとしてプレーした久保建英より、効果的なウイングプレーを披露。縦と内のバランスが優れていた。内へ切れ込んだ場合でも、MF的な才覚を見せた。言うならば、縦突破を図るウイング兼、外で構えるゲームメーカー。三笘が絡んだ先にはゴールがある。ゴールへのルートが見えるような、言うならば建設的なプレーだった。

 ウエストハム、ブライトン、レンジャーズ、アタランタ、リバプール、ビジャレアル、スラビア・プラハ、レバークーゼン。決勝トーナメント1回戦に駒を進めたのは上記の8チームだった。

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