久保建英とラ・リーガの主な右サイドアタッカーをデータで比較「上回る選手はいない」 (3ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【久保の最近のパフォーマンス低下について】

 ここのところパフォーマンスの低下が囁かれている久保だが、まず言いたいのは、シーズンを通して同じ調子を維持するのは不可能ということだ。どんな選手にも浮き沈みはあると自然に理解し、受け入れなければならない。そうでなければ、選手に対する批判は誇張され、何よりも不公平なものになりかねない。

 歴史上の偉大な選手の誰にでも、その時期は必ず訪れていた。シーズンが10カ月近く続く間、ずっとトップレベルの状態を維持することなど誰にもできない。

 それはもちろん久保にも当てはまる。彼がこれまで披露してきた並外れたパフォーマンスがどこかで停滞するのも、当然起こり得ることだと受け止めなければならない。

 久保は現在、特にフィニッシュワークで輝きを失い、今季開幕時に比べ決定的な働きができていない。それでも彼がこれまでに築き上げてきた功績が損なわれることはない。ラ・レアルにとって重要な選手である点に変わりはないので、誰もそれを心配する必要などないのだ。

 ここ2試合引き分けに終わったチャンピオンズリーグのザルツブルク戦とラ・リーガのオサスナ戦で、久保は勝負を決める働きこそできなかったものの、チームの攻撃において必要不可欠な存在だった。

 イマノル・アルグアシル監督は先日、最近のパフォーマンスに翳りが見える久保について大きな期待を寄せていた。

「タケは技術的な才能に大いに恵まれている選手だが、シーズン序盤に持っていたもの、つまり最後の局面で牙を剥き、アシストする力が今欠けている。私は彼を含む全員に、決定的な存在になること、そして数字を残さなければいけないと固執している。それがチームの糧となり、全体的に良い結果を得る道だからだ。

 タケもこれまでそうしてきた。今はより苦しんでいるが、いつも同じようにやれるわけではないのでそれは普通のことだ。彼は必死に取り組んでいるので、またこれまでと同じようにうまくやってくれるはずだ」

 久保は今調子を落としているように見えるが、後半途中にモハメド=アリ・チョーとの交代でピッチに入ったザルツブルク戦では、個人技をベースに何度もチャンスを作り出していた。ゴール左上隅に飛ばしたペナルティーエリア手前からのFKは惜しくもGKのファインセーブに阻まれたが、試合の流れを大きく改善した。

 スタメン復帰した直近のオサスナ戦は前半、かなり警戒されたことで控えめなプレーに終始した。しかし後半は自分のプレーを前面に押し出せるようになり、あと一歩で決勝点というところまで迫った。右サイドですばらしい動きを見せたあと、ペナルティーエリア手前から放ったシュートはGKに阻止されてしまい、成績を伸ばすことができなかったが、またもや見せ場を作っていた。

 勝ちきれなかった2試合を見てもわかるとおり、久保は依然としてラ・レアルにとって重要な存在のままである。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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