バルサ、10代選手の台頭&フェリックス加入で一新 改革の成果問われるクラシコへ (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「ラ・マシアは宝」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』がアスレティック戦でそう見出しを打ったように、そこには"唸る金脈"がある。ジョセップ・マリア・バルトメウ前会長、サンドロ・ロセイ前々会長の政権時代にその金脈は見捨てられかけたが、「ギウを筆頭にした2006-07年生まれ世代はこれからも期待できる」と言われる。

 そしてラ・マシア出身の16歳、ラミン・ヤマルは変革の象徴だろう。すでに右サイドに定位置をつかみつつあり、同年齢ではメッシ以上の異例の抜擢。とにかく力みがない。スピードを自在に操れることで、相手を簡単に翻弄できる。

 ヤマルは左利きだが、子どもの頃からネイマールのプレーに影響を受けてきた。ウイングとしてのスピードの上げ方、テクニックの使い方、自らが電流のようになる動きを繰り返したという。ボールと戯れるのが好きで、街角でボールを蹴った。今や少なくなったストリートで身につけた変幻と言える。

 バルサは夢を見られるチームになりつつある。ただし、クラシコは意地の対決だ。

 レアル・マドリードは、イングランド代表ジュード・ベリンガムを筆頭にバルサを踏み潰すだけの陣容である。選手層が分厚く、交代でルカ・モドリッチ、エドゥアルド・カマヴィンガ、ブライム・ディアスを投入できる。そしてカルロ・アンチェロッティ監督が率いる試合巧者だ。

 フェリックスとラ・マシア組が一体になって、首位レアル・マドリードを叩きのめすことができたら――バルサは新時代の扉を開くことになるはずだ。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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