久保建英にスペイン地元紙は「マラドーナ級」と表現 CL決勝T進出へ勝利に貢献 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【チーム全体が高い集中力】

 その脅威が伏線になったのか。63分、ラ・レアルは右サイドからの攻撃で、ベンフィカが久保を警戒して一斉に左へ固まったところ、逆サイドへ展開。左でフリーだったアンデル・バレネチェアが仕掛けてクロスを折り返すと、最後はゴール前に入ったブライスが押し込んだ。

 久保のハイライトは、この後だろう。

 66分、右でベルナトと1対1になった瞬間、右サイドバックのアマリ・トラオレがインサイドを猛烈なスプリントで駆け抜け、ボランチを引き連れる。ここを見逃さず、コースが空いた中央へカットイン、左足で狙った。美しい軌道のシュートはバーに直撃し、ダメ押し点にはならなかったが。

 75分、久保はコンディション面を考慮され、カルロス・フェルナンデスと代わってベンチに退いている。

「久保はスペクタクルな夜だった。最後のシュートはバーに阻まれたが、ハイレベルなコンビネーションからのシュートで、ゴールに値した。試合を通じ、ベンフィカを上回っていた」(スペイン大手スポーツ紙『マルカ』)

「(試合は)久保の新たな極上品」(『アス』)

 マルカもアスも、久保に最高点の三つ星(0~3の4段階)を与えている。CLの舞台でポルトガル王者に対し、敵地で格上の戦いをやってのけて勝利する。それがどれほど難しいことか。

「(久保は)プレーの熟成はディエゴ・マラドーナ、エリア付近への出現はスティーブン・ジェラード。あとは決定力だけ......」

 スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ』はそう絶賛し、惜しんでいる。

 この日、ラ・レアルはチーム全体がとても良かった。高い集中力で技術の高さを誇示し、ベンフィカを凌駕。ほとんど攻め手を与えていない。面白いようにパスをつなぎ、ひらめきも感じさせた。久保と同じくイゴール・スベルディア、ブライスも両紙で三つ星を獲得、攻守がかみ合った。

「チームとして10点満点。0-3で勝っていても、おかしくはなかった」

 イマノル・アルグアシル監督が語ったように、スコア以上の完勝と言える。

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