三笘薫、冨安健洋、遠藤航...プレミアリーグでの進化のカギ 福西崇史は「周囲との連係」と解説 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【遠藤航に求められるのは、まず慣れること】

 遠藤のリバプール加入は正直驚いた。30歳の選手が獲得されたのは、それだけユルゲン・クロップ監督に即戦力として高く評価されていることの証だろう。同ポジションで獲得に動いて獲れなかった選手がいて、遠藤は第1候補ではなかったもしれないが、それでもクロップ監督の獲得リストに名前が挙がっているというだけで快挙だと思う。

 デビューとなった第2節のボーンマス戦では、MFアレクシス・マック・アリスターの1発退場によりひとり少ない状況での投入と、難しい状況だった。次の第3節のニューカッスル戦では先発したが、前半28分に今度はDFフィルジル・ファン・ダイクが1発退場となり、再びひとり少ない状況での展開になった。

 2試合連続でこんな状況になるのは、なかなかあることではないが、遠藤は落ち着いて対処していた。初めてのプレミアリーグ、相手のレベルもかなり高いなかで、堂々とプレーできたのは、経験のある遠藤だからできたことだと思う。

 ただ、そこからはベンチスタートが主になってきている。まず遠藤に求められるのは、どれだけスムーズにプレミアリーグ、チームに慣れるかだと思う。

 ブンデスリーガとは強度やスピード感も違うし、またクロップ監督のサッカーには決めごとが多く、慣れるのが難しいとされている。遠藤は今季のプレシーズンをシュトゥットガルトで過ごしていたので、それも慣れるのを難しくさせているだろう。

 また、リバプールにはトップレベルの選手が集まっている。ゲームをコントロールするタイプではない遠藤は、より周りに合わせるプレーが求められる。初めて触れるサッカースタイルのなかで、トップレベルに合わせながら慣れるというのは相当難しいことだと思う。

 例えば守備の時に、遠藤としては狙いを持ってサイドを限定して相手を追い込んでも周りがまったく違う意図を持って動いているなど、遠藤の意図をまったく感じてもらえず、動きが噛み合わないというのは往々にしてある。

 そこで遠藤がリバプールのやり方を、シーズンを戦いながら理解して周りに合わせていく。これは口で言うよりも遥かに難しい作業だ。ただ、それでも遠藤の頭のよさならできる。ただ、慣れる段階ではどうしてもプレーの波が出てきてしまうのは仕方がないと思う。

 そんななかで、先日のカラバオカップ3回戦のレスター戦では先発し、印象的なプレーを披露していた。攻守にプレーエリアがより高い位置に上がって、カウンタープレスで潰す場面もあり、スピード感やスタイルに慣れてきたことで視野の範囲もかなり広がっていた。ドミニク・ソボスライへのアシストは、それが顕著に表れていた。

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