鎌田大地のラツィオ指揮官も嘆く低調な補強。セリエA上位7チームの今季は? (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【顔ぶれが変わったミラン】

 おかげでインテルはラウタロ・マルティネスとコンビを組むCFのレギュラーを必死で探すことになった(ジェコはフェネルバチフェに移籍)。そんななか、ボローニャから移籍してきたのは34歳のオーストリア人FWマルコ・アルナウトヴィッチだった。要するに、インテルが当初描いていた青写真に比べると、かなりお粗末な攻撃陣になりそうなのだ。これが新シーズンにも大きく影響することになるだろう。

 一方、ミランはかなり顔ぶれが変わった。元イングランド代表のMFルーベン・ロフタス・チーク、オランダ代表MFのタイアニ・ラインデルス、そしてナイジェリア代表のアタッカー、サムエル・チュクウェゼの3人が加入した。

 インテル同様、ミランもアキレスの踵はCFだ。オリビエ・ジルーとは1年契約を更新したが、彼に何かがあった時の代わりがいない。ミランのようなビッグチームでCFという重要なポジションが人材不足とは由々しき問題である。ミランにしろインテルにしろ、チャンピオンズリーグ(CL)を戦ううえで、小さな問題ではないだろう。

 今度は首都の2チームを見てみよう。

 まずはローマ。やる気がないような気の抜けたメルカートでの動きに、ジョゼ・モウリーニョ監督は不満げだ。主要選手のネマニャ・マティッチ(レンヌ)とロジェール・イバニェス(アル・アハリ)が出て行っただけでなく、ジョルジニオ・ワイナルドゥムもパリ・サンジェルマンに帰ってしまった。マティッチはチームでも最も経験のある有能な中盤の選手。またイバニェスはセンターバックだが、攻撃時の彼のヘッドに助けられることは少なくなかった。

 代わりに加入したのはデンマーク代表DFラスムス・クリステンセン、元フランクフルトのDFエヴァン・エンディカ、アルジェリア代表MFフセム・アワール、ポルトガル代表MFレナト・サンチェス。もっとパッとした補強を期待していたローマニスタにとってはどれも残念な名前ばかりだ。トミー・アブラハムがケガから復帰するまで(2024年2月という話だ)、攻撃陣はパウロ・ディバラとアンドレア・ベロッティしかいない。ディバラはすばらしいシュートを放つがケガが多く、ベロッティは黄昏の道を歩んでいる。

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