給与未払いでオーナーは暴言、トラに遭遇、3日間停電...昨季インドでプレーした日本人サッカー選手が語る「すべてが想像以上だった」生活 (4ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Uchida Kosuke

【チームの食事は毎食カレー】

 また、インドのサッカーといえば、ともにコルカタに本拠を置くイースト・ベンガルとモフン・バガンのダービーが、かつては10万人以上の観衆を集めていたことなどでも知られる。だが、サッカー熱は地域差が大きく、一般的なIリーグの試合は2000人から3000人程度の入りだったそうだ。

 サラリーの未払いとともに、インドで困ったのが、たびたび起こる停電だ。

インド時代、街なかの屋台でインド時代、街なかの屋台でこの記事に関連する写真を見る「ミャンマーとかでも結構ありましたが、インドは特に多かった。一度、3日間続いたことがあって、電気が止まると水も出なくて......。そのときは仕方なく(シャワー代わりに)外の施設に水を浴びに行きました」

 ISLのクラブは程度の違いこそあれ、軒並み好待遇だと聞く。だが、インドはカースト制(身分制度)の影響か、待遇はカテゴリーやクラブの大小などで、日本では考えられないほど、その差は大きいという。

「スデバでは、試合時の移動も大変でした。インドは(日本の約8.7倍と)国土が広いので、基本、リーグ戦の移動は飛行機です。ただ、なるべくお金をかけたくないのか、深夜の格安航空になることが多かった。真夜中の3時や4時発の便で、直行便があるのに、なぜか乗り継ぎ便なんです。前々日に移動して前日の夕方に着くようなスケジュールで、徹夜の移動で疲れて、前日練習などはやっている場合じゃなかったです(笑)」

 インドの食事といえば、カレーが定番。極端な言い方をすれば、チームでの食事は毎食カレーだった。

「朝は自分で済ませていましたが、昼と夜はチームで食べることが多く、いわゆるカレーっぽいものです。外国人選手のなかには『毎食カレーだとキツい』と言っている選手もいましたが、味はおいしかったので、僕は全然大丈夫でした。ただ、帰国する時に、いわゆる街中のローカルな屋台カレーを一度食べてみたくてトライしたら、1カ月くらい下痢が止まらなかったです(笑)」

 内田が笑って話すので、どれも楽しそうだが、第三者からはその生活が楽ではなかったように見える。ただ、内田はインドに行ったことを少しも後悔していない。むしろ「行ってみないとわからないし、いい経験ができた」と強調する。

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