レアル・マドリードの変幻自在の戦いぶりはCL準決勝でも発揮されるか 相手に押されても引かれてもゴールできる攻撃のカラクリ (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer 
ダニ・セバージョスとヴィニシウスが裏へ抜け出し、ゴール前中央を空けた

 この試合のチェルシーは、第1戦を0-2で落としたことで、キックオフからかなり前がかりに出てきていた。そこを巧みに突いたのが、レアル・マドリードだった。

セバージョスが斜めに、ヴィニシウスが縦に抜けてロングボールを引き出し、ゴール前中央を空けたセバージョスが斜めに、ヴィニシウスが縦に抜けてロングボールを引き出し、ゴール前中央を空けたこの記事に関連する写真を見る 2点目のシーンでまずポイントとなるのが、チェルシーの守備ラインの乱れである。レアル・マドリードは71分にカリム・ベンゼマが退き、右ウイングのロドリゴがトップの位置に入っていた。

 そのロドリゴに対し、チェルシーのセンターバックのチアゴ・シウバがタイトなマークでついて、この場面では前に釣り出される形となった。ここでトレボ・チャロバーがうしろに1人残っていたことで、チェルシーの守備ラインには大きなギャップが生まれていた。

 そこを狙ったのが、レアル・マドリードの2列目のダニ・セバージョスだ。リュディガーがルックアップした瞬間、中央にいたセバージョスはチアゴ・シウバが空けたギャップに斜めに走り、パスを呼び込んだ。

 リュディガーがすかさずロングフィードを送り込むと、流れたボールに左サイドの外から走り込んだヴィニシウスが先に追いついた。ここにチャロバーが釣り出され、ロドリゴが走り込むと、そこへチアゴ・シウバも釣り出される。

 こうしてゴール前中央にはスペースが空いた。そこへ走り込んだフェデリコ・バルベルデへ、ヴィニシウスがグラウンダーのクロス。勢いに乗ったバルベルデは2人をかわして、最後はロドリゴへパスを送って2点目となった。

 この試合の1点目も2点目も、レアル・マドリードはポゼッションからチェルシーの守備陣をうまく呼び込み、空いた裏のスペースを効率よく突いて奪ったゴールだった。勝ち方を熟知するレアル・マドリードが、準決勝のマンチェスター・シティ戦をどう戦うのか注目だ。

◆【動画】UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦 チェルシーvsレアル・マドリード ハイライト
(レアル・マドリードの2点目のシーンは、0分41秒~59秒)

「UEFAチャンピオンズリーグ」もいよいよ準決勝! 
シティvsレアル、インテルvsミランの好カードが実現!
WOWOWが独占放送&配信する、欧州各国のチャンピオンチーム同士が戦う「UEFAチャンピオンズリーグ」も、いよいよ佳境に突入した。世界最高峰の舞台で繰り広げられる、トッププレーヤーたちのプライドを掛けた戦いは必見だ。またWOWOWでは「UEFAヨーロッパリーグ」「ラ・リーガ」の試合中継に加えて、サッカーのオリジナル番組も見られるなど、最先端のサッカーを楽しめる。
WOWOW「UEFAチャンピオンズリーグ」公式サイト>>

プロフィール

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る