メッシ、ベンゼマらが持つ「知覚」とは? 一流アスリートの高齢化が進んだ理由 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ベンゼマと同じように、メッシはピッチをうろついて周りをスキャンし、他の選手たちの位置を頭に入れる。年をとったスターたちは自分の力を、本当に重要な瞬間まで温存しておく。力を爆発させるのは、たいてい相手ゴールの周辺だ。アーセン・ベンゲルは言った。

「ヨーロッパで最も優秀なストライカーたちは、みんな30歳以上だ。彼らは敵のあらゆるミスを利用することができる」

 フットボールは決断の連続だ。選手は89分間、ボールに触らなかったとしても、つねに決断を繰り返している。今どこにいるべきか? そして90分がすぎる前にボールを自分のものにしたら、次の問いが浮かんでくる──さあ、何をすべきか?
(つづく)

【著者プロフィール】 サイモン・クーパー ジャーナリスト。1969年、ウガンダ生まれ、オランダ育ち。英『フィナンシャルタイムズ』紙でコラムニストを務めるほか、各国メディアに執筆している。主な著書に『サッカーの敵』『ナノ・フットボールの時代』『「ジャパン」はなぜ負けるのか 経済学が解明するサッカーの不条理』(共著)など。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る