優勝候補フランスに「20年前の悪夢」再び? 主力のケガ、連覇のプレッシャー、デンマーク戦...条件が重なりすぎている (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

デシャンを襲う悩ましい問題

 ネーションズリーグ優勝時の面影は、完全に失われていた。

 長いシーズンを終えたばかりの選手の疲労、バカンスを目前に控えた時期の開催だったことなど、問題の原因はいくつか考えられる。だが、そのなかでも目についたのは、グリーズマン欠場による布陣変更がことごとく機能しなかったことだった。

 デシャン監督が第2節から第4節の3試合で採用した布陣は、4−2−3−1(第2節、第3節)と4−3−3(第4節)。いずれの試合でも後半途中で4−4−2にシフトチェンジするなど、試行錯誤の跡は見られたが、結局4連戦のなかで最適解は見つけられなかった。

 そこで注目されたのが、本番前の最後の代表ウィークとなった9月の2試合、第5節オーストリア戦(ホーム)と最終節デンマーク戦(アウェー)だったのだが、ここでデシャン監督はさらに悩ましい問題に直面する。絶対的な信頼を寄せるポグバが手術により招集外となったことも含め、想定していた主力メンバーのほとんどが負傷を抱えてしまい、満足な招集さえも叶わなかったのである。

 主な欠場者を挙げると、正GKウーゴ・ロリス、第2GKマイク・メニャン。DFではリュカとテオのエルナンデス兄弟、プレスネル・キンペンベ、イブラヒマ・コナテ、リュカ・ディニュ。オーストリア戦の前半には、ジュール・クンデも負傷交代を強いられた。

 MFでは、戦線離脱中のポグバ以外に、カンテ、ラビオ、そして今年6月から代表に定着しつつあったブバカル・カマラも負傷欠場。前線はベンゼマとキングスレイ・コマンがケガで不在と、本番に向けた最終調整とは程遠い状況で、9月の2試合はW杯用控えメンバーの最終選考の場と化してしまった。

 もちろん、そんななかでも収穫はあった。

 たとえば、ポグバとカンテの不在によってボランチのファーストチョイスに昇進したチュアメニが目を見張る進化を続けており、デシャン監督も太鼓判を押すほどの風格を見せたこと。そのパートナーとして抜擢したユスフ・フォファナも、昨シーズンまでチュアメニとモナコでコンビを組んでいたこともあり、代表デビューとは思えないパフォーマンスを披露した。

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