バイエルンとドルトムント。なぜここまで差がついたのか (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 むしろ悲劇はその翌年だった。2012~2013シーズンが終わると、マリオ・ゲッツェがバイエルンに引き抜かれたのだ。国内リーグだけでなく、チャンピオンズリーグでも優勝争いを演じたその相手の元に、ドルトムントの最高傑作で、小学校時代からの生え抜きを奪われたのだから、たまったものではない。

 そして今シーズンはCFレバンドフスキーまでバイエルンへ。バリオスが去ったあとのドルトムントで、3年連続で20得点以上を挙げた文字通りの中心選手だった。今シーズンのドルトムントには、もしゲッツェがいれば、レバンドフスキーがいれば、と思う場面は決して少なくない。この日途中出場したゲッツェに浴びせられたブーイングは、試合中のどの歓声よりも大きかった。

 ドルトムントにとってかけがえのない2枚であったことは、今季の戦いを見れば明らかだ。昨季以降、シーバー、ラモス、ミキタリアン、オーバメヤン、インモビレ、カンプルと、多くの攻撃陣を補強してきたが、彼らが決定的な仕事をしたことは今のところない。つまりゲッツェ、レバンドフスキーの穴は埋められていないのだ。

 また、復帰組のMFシャヒンと香川も、かつての輝きを未だに放つことができていない。契約を延長したロイスには、強豪クラブからのオファーの噂が絶えない。前線からの激しいプレッシャー、速い攻撃が持ち味だったチームだが、選手が入れ替わらないことによって、そのスピードと回数が落ちている印象は否めない。

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