【スペイン】大記録更新と多くの受賞。まだまだ続く「メッシ祭り」

  • 山本美智子●取材・文 text by Yamamoto Michko

「彼につける形容詞はもう尽きてしまったので、彼を小さい頃から知っているあなたがつけてもらえませんか」

 バルセロナの監督記者会見場で、ティト・ビラノバがひとりの記者にそんな質問を受けていた。ここで話している話題の主人公は、言わずとしれたリオネル・メッシだ。「二度と彼のような選手を見ることはないだろう」というビラノバは、その理由をこう説明してみせた。

「こちらがCKを蹴る時に、ボールから35m離れたところから、彼はダッシュで走ってくる。狭いゴールエリアで相手選手と2対1になるのを避けるためにそうするのだが、そのとき試合は89分で、私たちは5-0で勝っていた。そんな場面でそこまで動ける選手はいないよ」

 昨シーズン、リーグ戦で50ゴールをマークして、今回(欧州リーグ全体の得点王に贈られる)ゴールデンシューを受賞。この日、すべてのスポーツ紙の表紙はメッシで飾られ、スペインはちょっとした「メッシ祭り」になった。

 ゴールデンシューの受賞会場で、「近く出産予定の息子さんに」とプレゼンターからゴールドのおしゃぶりとベビーシューズもプレゼントされて相好を崩したメッシは、「マラドーナと同じ誕生日に生まれたら?」という質問に「ええっ、大問題だよ!」と本気で動揺し、会場を笑いの渦に巻き込んだ。※マラドーナの誕生日は10月30日

 169cmの小柄な体で、チャンピオンズリーグで初めて1試合に5ゴールをマークし、異なる6大会全部でゴールを決めた経験を持ち、通産150ゴールの記録を最年少で達成。すでにバロンドールも3回手にして、プラティニとタイで並んでいる。

 その記録更新は止まることなく、メッシは2012年1月以降現、時点で73ゴールをマークしており、1958年に年間75ゴールを決めたサントス時代のペレの記録まで、あと2と迫っている。

「またチャンピオンズリーグ、リーグ優勝、国王杯の三冠を手にしたい」と目標を掲げたメッシ。「最後までバルセロナで終えたいが、完全に引退する前に一度、アルゼンチンでプレイしたい」という夢も語った。そうはいっても、まだ25歳。当分、「メッシ祭り」は終わりそうもない。

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