ジェフ千葉、15年ぶりJ1復帰なるか キーマンは高校選手権で名を馳せた右SB (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 ルーキーシーズン後半に出番を激減させた髙橋は、翌2018年にはレノファ山口へ、2019年にはモンテディオ山形へ期限付き移籍するが、いずれのクラブでもレギュラー獲得はならず。2020年に千葉へと復帰するも、なかなかポジションをつかむまでには至らなかった。キャリアハイとなる34試合に出場した一昨季にしても、先発出場は14試合にすぎず、そのほとんどがシーズン序盤に限られた。

 髙橋が口にした「プロで試合に出られた経験がほとんどない」は、必ずしも事実を正確に表現してはいないものの、自身としてはそれが率直な実感なのだろう。

 選手権で名を馳せたMFは、プロ入り後もあくまで中盤で勝負し、ずっともがき続けてきた。だからこそ、彼の才能が異なるポジションで開花し始めていることに、意外な印象を受けるのである。

 とはいえ、飛躍のシーズンとなった今季にしても、髙橋は初めから右サイドバックだったわけではない。今季から背番号2をつけているため、右サイドバック転向はシーズン当初から予定されたものだったようにも見えるが、本人曰く、「よく言われますけど、そんなことはなく、たまたまです(笑)」。

 今季から千葉の指揮を執る小林慶行監督にポジション転向を告げられたのは、「夏ですね。(J2第21節の)いわきFC戦の週からです」。髙橋は今季に入り、いわき戦直前の第20節を含め、それまで3試合に先発出場していたが、それらはすべてボランチとしてのもの。それが突如、1週間後には右サイドバックを務めることになったのだ。

 それでも「(試合に)出続けられるなら、どこでもやりたかった」と髙橋。迷いはまったくなかったという。

「悲観することもなく、特別喜ぶこともなく。僕は試合に出られることが一番だったので、(ポジションにかかわらず)その経験を得られることのほうが大きいんです」

 すっかり右サイドバックが板についてきた感のある現在は、「やっぱり試合に出ることがすごく楽しいと思ってやれているので、(チームで)僕に求められるやり方プラス、自分の特徴を出せたらなって思っています」。

 一時は21位に沈んでいた今季の千葉は、最終的には6位に食い込み、J1参入プレーオフ進出を決めた。髙橋の右サイドバック起用と千葉が調子を上げてきたタイミングが符合するのは、決して偶然ではなかっただろう。

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