横浜F・マリノスを王者たらしめる3つの理由。開幕2連勝で強さの秘密が見えた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

【攻撃的な意識がチームに浸透】

 横浜FMは、攻守のチューニングが合っていない。しかし、そこで失点しないのが、もうひとつの王者たる所以だろう。川崎戦でも踏ん張った守備が、水際で立ちはだかった。撓(たわ)むような守備で凌ぎきるだけでなく、攻撃の活路も探し続けていた。

「後半は相手にやられていたところはありましたが、シュートまでいかせていなかったので......。前線がプレスをかけてくれていたから、高い位置で奪って攻撃につなげたかったですが。70分頃からは大事につないで、という共通認識でできました」(横浜FM/畠中槙之輔)

 悪い状況でも最悪にしない。それも長丁場のリーグ戦を制するために不可欠な要素だ。

 そして終盤、横浜FMが王者である三つ目の理由が見えた。
 
 後半44分、強烈なハイプレスからボールを奪い、ダメ押しの2点目を決めている。マルコス・ジュニオールが前線で守備のスイッチを入れ、井上健太が全力でプレスに反応し、右サイドで上島拓巳が相手のパスをカットすると、カウンターを発動。最後はヤン・マテウスが冷静に左足で流し込んだが、列挙した全員が途中出場だった。

「(西村)拓真が敵を引き寄せ、走ればフリーになると思ったので、そこにパスをもらって、ゴールすることができました。プレシーズンから迷いなくプレーすることができています」(ヤン・マテウス)

 横浜FMは後半途中からギアを入れられるほどの戦力を有している。他に宮市亮や小池龍太などの戦列復帰も見込め、その陣容はリーグ屈指。5人交代制の恩恵が大きいチームだ。

「F・マリノスはいつもオフェンシブなアプローチをするチームです。できる限りポジティブに前から、というのはあって、そこはたとえリスクを負っても、です」(横浜FM/ケヴィン・マスカット監督)

 そんな戦いができるのも、相応の戦力が備わっていることと、アンジェ・ポステコグルー前監督以来、プレー構造が確立できているからだろう。

<どんな時でも攻撃的に、ゴールをこじ開ける姿勢>

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