2022年の日本サッカー10大ニュースを平畠啓史さんが選定。「やっぱりドラマがある」「みんなに忘れてほしくない」出来事とは? (4ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Sano Miki

【中村俊輔引退】

 ずっとサッカーやってそうって勝手に思ってました。もう一回ピッチに戻ってくるのではと勝手に思っています(笑)。

 サッカー小僧的な選手ですよね。サッカーが好きで好きでたまらないのが、これほどまで伝わってくる選手はほとんどいない。いまだに引退が信じられない。

 キックのフォームのシルエットだけでもわかる選手。シルエットだけでわかる選手ってそんなにいないですよ。それはすごいこと。点を決める、あるいはいいパスを出す選手はたくさんいても、型をもっている選手ってそんなにいない。決して大きくない体でやっていくために、生まれたキックフォーム。中村選手のサッカーへのこだわりが全部詰まっているのがあのフォームです。

 実際しゃべると結構男臭い性格。すごく周りも見えていて、とにかくかっこいい。スパイクへのこだわりもすごい。サッカーの話をしたら止まらない。本当に引退はさみしい。熊本でのラスト試合の笑顔が印象的でした。あれはやりきったからこその笑顔だったんでしょう。

【ヴァンフォーレ甲府の天皇杯制覇】

 ヴァンフォーレ甲府が天皇杯を優勝するなんて、ドラマ性がある。決勝には甲府の応援の方がものすごく来ていました。

 山梨県は韮崎高校があったり、サッカーが盛んな街です。山梨県のサッカーに関わってきた人全員がうれしかった優勝でしょう。中田英寿さんが生まれたのが山梨、そして今年は山梨出身の羽中田昌さんが、山梨学院を率いて全国高校サッカー選手権に出るというのも、なんか山梨イヤーを感じさせます。

 日本のいろんなサッカークラブに、頑張っていたらこんな素敵な未来が待っているという夢を与えてくれた。本当に老若男女に支えられているクラブ。そういうのを見るのが好きなんです。ワールドカップのPKもすごかったですが、天皇杯決勝のPK戦のドラマもすごかったですよ、ほんと。

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