レッズに「ケンカ負け」。フロンターレが首位決戦で圧倒されたわけ (2ページ目)

  • 木崎伸也●文 text by Kizaki Shinya
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 それでもワンサイドゲームになった印象を受けるのは、川崎が「いつもの形」に持ち込めなかったから、と筆者は考えている。

 いつもの形。それは相手を押し込んで、パスで振り回し、崩し切って仕留める攻撃だ。

 今年3月に亡くなったヨハン・クライフは、攻撃における「ポジションプレー」の有効性を唱え続けてきた。ポジションプレーとは、味方がピッチ上にうまく散らばり、アメフト流に言うと「セットした状態」で攻める攻撃のことである。

 縦に速くパスをつなぐ攻めや、ボールを奪ってからのカウンターとは違い、選手がある程度規則性を持って配置されており、パスワークで守備ブロックを切り裂こうとする。

 Jリーグでポジションプレーと言えば、まず思い浮かぶのは、浦和の指揮官であるペトロヴィッチ監督が手がけた3−4−2−1だ。攻撃時には前線に5人が並び、計画的な"フリック(1タッチでボールをそらすプレー)"で相手の虚を突く。

 今回の川崎戦では、まさにその形で決勝点が決まった。後半9分、DF森脇良太の鋭い斜めのパスを、李がヒールで流し、MF武藤雄樹がダイレクトでゴールマウスに流し込んだ。

「ミシャ流」を受け継ぐサンフレッチェ広島も、ポジションプレーを得意としている。

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