「帰ってきた天才」柿谷曜一朗は、セレッソをJ2から救えるか (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sho Tamura/AFLO SPORT

 明るい雰囲気の中でも、練習試合や、戦術的な練習になると、柿谷からは緊張感が漂ってきた。そこから、J1昇格への思いの強さが伝わってくるようだったが、そうしたムードを漂わせた理由は、それだけではなかった――。

 チームは今季、4-4-2のシステムをベースにして、攻撃時には4-3-3、4-2-3-1、4-2-4といった形をとる。その際、1トップの位置に立つのは、柿谷だと思っていた。2013年シーズン、セレッソの1トップを務めた柿谷は、J1で21得点を挙げてベストイレブンにも選出されるほどの活躍を見せたからだ。

 ところが、キャンプ中の戦術練習や練習試合で1トップに配置されたのは、187cmの大型FWリカルド・サントス(ブラジル出身。貴州人和/中国→)だった。柿谷は、主に左サイドを任されていた。ときどきトップ下に入ることもあったが、1トップのポジションに入ることはなかったのである。

 なぜ、柿谷の1トップではないのか。大熊清監督が厳しい表情を見せて、その事情を説明してくれた。

「1トップは、柿谷にとって、一番気持ちのいいポジションだと思う。宮崎キャンプの前に行なったタイキャンプでは、1トップの位置で生き生きとプレーしていた。でも、相手が守備の人数を増やしてきたときや、J2の強烈なストッパーを前にして、はたして柿谷は勝てるのか? というと、そんなに甘くはないと思う。逆に、粘り強いDF陣に対しては、リカルドの高さや強さのほうが(チームには)生きてくる。それで今は、(柿谷には)左サイドをやらせているけど、実際にそこがいいかな、と思っている。

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