あえなくJ2降格も、松本山雅にとって「価値ある1年」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 最悪の結末を迎えた直後とあって、終始険しい表情のまま話し続けた反町監督。だが、ひとしきり厳しい言葉を並べたあと、わずかに笑みを漏らし、こう語った。

「でも、正直に言うと、昨年の(年間で3勝しかできなかった)徳島ヴォルティスみたいに、もっと勝てないんじゃない、と思っていた。選手たちは試行錯誤しながら、最後の最後までよくやってくれた。泥をかぶる必要があるなら、自分がいくらでもかぶる。選手には感謝したい」

 そんな指揮官の気持ちを悟っているかのようにDF田中隼磨もまた、「まだまだこのチームは力が足りないと強く感じている」と言い、こう語った。

「J1ではまだまだ通用しなかった。でも、選手ひとりひとりがそれを強く感じることができれば成長できる。この悔しさをチームの成長につなげていきたい」

松本山雅の「挑戦」はまだ始まったばかりだ。松本山雅の「挑戦」はまだ始まったばかりだ。 ようやくたどり着いた夢の舞台での挑戦は、わずか1シーズンで幕を閉じた。だが、「J1に行って見えたものもある。それを今後に生かさないと。やらなければいけないことが増えた」と語る指揮官の言葉を引くまでもなく、今季、松本が見せた戦いは決して恥ずべきものではなかった。そこで手にした収穫の大きさは計り知れない。

 松本山雅というクラブの歴史において、2015年は単なる1シーズンでは片づけられない価値を持つことになるに違いない。

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