田嶋幸三から宮本恒靖新会長へ「院政を敷くつもりは一切ない」 やり残したことは「強いて言えば...」 (3ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【私がやってきたことを無視することになっても...】

 JFAは2050年までに男子のワールドカップを開催し、優勝することを「2005年宣言」に記している。そのためには、競技力を向上しつつ、スタジアムを整備しなければならない。8万人収容をひとつ、6万人収容を3つ用意し、4万人収容を11個揃えなければならない。

「スタジアムのハードルはかなり高いです。広島の新スタジアムは約3万人、今秋に完成する長崎の新スタジアムは約2万人で、維持管理を考えるとそれぐらいのサイズが現実的なのかもしれません。

 ただ、金沢にも新スタジアムができて、富山でもサッカー専用スタジアム建設の機運が高まっている。アジアで、世界で活躍するクラブが出てくれば、国際基準を満たすスタジアムを造ろう、ということにもなっていくと思います。個人的にはレアル・マドリードのように、首都圏のチームが常に8万人を集めるぐらいの強さを持ってほしいですね」

 JFAの会長は3月下旬で退任したが、国際的な要職は引き続き務めている。世界のサッカー界のビジョンを検討するFIFAカウンシルに名を連ね、アジアサッカー連盟理事と東アジアサッカー連盟会長も務める。

「そういった仕事を続けていくからといって、宮本新会長に何か影響が及ぶことはありません。院政を敷くつもりは一切ありません。せっかく若くして就任するのだから、思いきったことをやってほしい。

 私がやってきたことを無視することになっても、全然構いません。失敗を恐れずに、どんどんやっていけばいいんです。もし何かあれば相談には乗りますし、必要に応じてサポートしていきます」

 プレッシャーを背負いながら走り続けた8年間を終えて、「まずはちょっと、休みたいですね」と率直な思いを明かす。

「やりたいことはたくさんあって、思いついたものを書き出しているんです。自宅の近くの小学校でサッカーをやっているので、それを応援するとかね」

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