アルビレックス新潟で「調子に乗って」ポジション喪失 GK藤田和輝はいかにして新天地で日本代表まで上り詰めたのか (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

── 今季はプロ入り5年目にして、キャリアハイとなる32試合に出場しました。大きな転機になったのではないですか。

「昨年、栃木に呼んでもらって、なかなか試合に出られなかったのに(期限付き移籍期間)延長のオファーをいただいて、その期待に応えたいって思ったし、自分自身、試合に出ないと今後の可能性が広がらない。今年は覚悟を決めて臨んだシーズンでした。

 その結果、開幕スタメンの座を掴むことができて(開幕戦から)7試合に出ましたけど、その間、(1勝4敗2分と)なかなかチームを勝たせることができなくて(一度スタメンから)外されましたし、その時は昨年もがいた経験が生きて、試合に出られなくても必死にやった。だからこそ、(再びスタメンに)代わった後はシーズン最後まで出続けられたと思うし、定位置を掴みきれたことは自分にとってすごく大きかったと思います」

── 先発から外された経験も大きかった?

「大きかったと思いますけど、その(外されていた間の)7試合にも出ていたらもっと成長できたかもしれないので、そこは何とも言えません。ただ、昨年出ていたGKを差し置いてチャンスを与えてもらいながら、チームを勝たせられなかった。チームに貢献できていなかったのだから、代えられるのは当たり前だったと思っています。

 それでも、どこにかしてもう1回、チャンスをもらいたいと思ったし、チャンスが巡ってきた(J2第15節の)水戸ホーリーホック戦はすごく気合が入っていました。今振り返ると、あの水戸戦で2失点はありましたけど、自分なりにいいパフォーマンスが出せたのは、その(試合に出られなかった)時の苦しみがあったからだと思います」

── チームの勝利を第一に考えながら、今季の栃木は19位。最終戦ではジュビロ磐田のJ1昇格を目の前で見ることになりました。その結果については、どう感じていますか。

「僕は栃木がすごく好きだし、J1昇格という目標を掲げてやっていたので、絶対にJ1昇格プレーオフ(進出圏内)には入りたいと思っていました。でも、チーム内に磐田や(プレーオフを勝ち抜いてJ1昇格を果たした東京)ヴェルディのような雰囲気があったかというと......、正直、すごく物足りなさを感じたというのが率直な気持ちです。

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