森保ジャパンの「1トップ問題」豪華タレントがそろう2列目との格差をどう埋めるべきか (3ページ目)

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充実の2列目と大迫勇也が組んだら
どんな化学反応が起きるのか興味深い

浅田真樹氏(スポーツライター)

 4-2-3-1の布陣をベースにすれば、2列目の「3」には、豊富なタレントが居並ぶ一方で、最前線の「1」は、決定的な人材が見当たらない。しかも、現在1トップを争っているのは、浅野拓磨、前田大然、上田綺世、古橋亨梧と、昨年のワールドカップ前から変わらぬ顔ぶれ。2列目では中村敬斗が台頭してきていることと比較すると、新鮮味にも欠ける印象が否めない。もう少し柔軟に、候補の間口を広げてみるのは一手だろう。

 具体的に言えば、いわゆる"ゼロトップ"的な発想で、鎌田大地や南野拓実を起用してみることだ。なかでも南野は、もともとボールを収めることがうまい選手であり、徐々に復調気配も見せている。飽和状態の2列目で順番待ちをさせておくくらいなら、最前線で使ってみても面白いのではないだろうか。

 ただし、ゼロトップはあくまでも苦肉の策であり、理想形ではないと考えるべきだ。

 ともに有能な中盤を有しながら、1トップが定まらないままズルズルと弱体化してしまったドイツ代表と、アーリング・ハーランドの加入で念願のチャンピオンズリーグ制覇を成し遂げたマンチェスター・シティ。代表とクラブの違いこそあれ、ゼロトップ的なサッカーを採用していた両者の"その後"を見ても、やはり確固たるセンターフォワードがいるに越したことはない。

 だとすれば、ひとまず大迫勇也の復帰は一考に値する。今季Jリーグで際立つ個人能力を見せつけている33歳のストライカーが、日本が誇る充実の2列目と組んだら、どんな化学反応が起きるのかは興味深い。

 3年後を考えると、ベテラン依存が得策でないことは承知のうえで、現有戦力に刺激を与える意味でも、大迫を一度呼び戻してみるのはアリだろう。

 1トップがどう立ち回れば、2列目をより効果的に生かすことができるのか。日本代表が1トップに求める選手像、ひいてはチームとして目指すべき理想形が、より具体的に見えてくるかもしれない。

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