サッカー日本代表の豪州戦で攻守、采配の課題を検証。W杯本番では突かれることばかり

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

カタールW杯アジア最終予選特集

両チーム主力を欠いた戦い

 後半84分から出場した三笘薫が2ゴールし、サッカー日本代表はオーストラリアとの大一番に勝利。終盤の劇的な展開で、日本の7大会連続となるW杯本大会出場が決まり、実にエモーショナルなエンディングとなった。

最終予選で苦戦を強いられた原因はしっかり検証する必要があるだろう最終予選で苦戦を強いられた原因はしっかり検証する必要があるだろうこの記事に関連する写真を見る 1試合を残した段階のグループBの順位表は、日本(勝ち点21)が初めてサウジアラビア(勝ち点20)をかわして首位に立ち、2位サウジアラビアも本大会出場が決定。3位オーストラリア(勝ち点15)はプレーオフに回ることとなった。

 とはいえ、最初の3試合で2敗を喫した日本にとっては、過去にないレベルの苦しさを味わったアジア最終予選でもあった。そういう意味では、本大会出場を決めたことの評価と賞賛とは別に、なぜ苦戦を強いられたのかをしっかり検証する必要があるだろう。

 とりわけ劇的な勝利で終わった今回のオーストラリア戦は、本大会での戦いを見据えた場合、修正すべき課題が散見された試合でもあった。

 まず、この試合を振り返る前提として、両チームが多くの主力を欠いていたことが挙げられる。日本は、これまでの最終予選の全試合でスタメン出場していた不動の1トップの大迫勇也をはじめ、右サイドバック(SB)の酒井宏樹、センターバック(CB)冨安健洋といったレギュラー陣、そしてFWの古橋亨梧と前田大然も不在だった。

 一方、勝つしかないホームのオーストラリアも、直近3試合のダブルボランチを務めたジャクソン・アーヴァインとアーロン・ムーイが揃って新型コロナウイルス感染で不在となったほか、トム・ロギッチも負傷欠場。さらに、試合当日には間に合ったものの、グラハム・アーノルド監督も新型コロナウイルス感染による隔離措置を強いられ、準備合宿で指揮を執れない状況だった。

 そんななか、アーノルド監督は前回対戦時で採用した基本布陣の4-2-3-1ではなく、4-4-2の布陣を選択。注目のダブルボランチには、代表2キャップの3番(コナー・メトカーフ)と、代表デビュー戦となった19番(ジャンニ・ステンスネス)という若手コンビを抜てきし、15番(ミッチェル・デューク)と10番(アルディン・フルスティッチ)で2トップを組ませた。

 チームの心臓部にあたるダブルボランチに、経験の少ない2人を抜てきせざるを得なかったことが、少なからず両チームの戦い方に影響した。大一番の試合では珍しく、前半から両チームともに好機を作るなど、かなりオープンな展開となった。

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