なでしこ2部のAC長野、苦境を乗り越え悲願の1部昇格へ (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 再浮上のきっかけは、ノジマステラから異例の移籍を果たした大宮玲央奈だった。9月1日に加入した大宮がボランチとしてフィットし始めたことで、攻守に厚みが出てきた。復調したAC長野は第23節、24節を連勝。こうして10月17日に、優勝に王手をかけるJAPANサッカーカレッジレディース(JSCL)との戦いに臨んだのだった。

 浅間おろしが吹く中キックオフを迎えた第25節。開始2分でCKから大宮がゴール。AC長野の先制で幕を開けた試合は、その後2ゴールを重ね、3-1で勝利をおさめた。

 しかし本田監督は、「(ケガ人続出の中)自分の考えている内容(戦い方)を変えてでも、とにかく結果にこだわるというところを最低限達成することができただけで、中身に関してはストレスのたまる試合だった」と振り返る。

 AC長野の攻撃力に備えたJSCLは守備的な戦術を取り、特にゴールゲッターとなる横山に関しては終始厳しいマークを徹底させた。スペースを消された横山に、真骨頂であるターンからのドリブル突破を披露する隙間は一切与えられなかった。横山は完全に消されてしまったのである。

 横山に対するマークは次節も続くだろう。それでも、苦しい状況下であればあるほど、そこをこじ開けるのがエース。90分の中で必ず露呈してしまうメンタルに伴うプレーのムラは、横山が克服しなければならない課題のひとつだ。

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