ザックが2戦連続で3-4-3を使った「隠された意図」 (2ページ目)
いずれも15分程度という短い時間ながら、2試合続けて終盤に「4-2-3-1」から「3-4-3」へとシフト。DF吉田麻也は、「実戦のなかでもっとやっていかないといけない。頭のなかでは分かっていても、相手が違えばやり方も変わるので、引き続きやっていくことが必要」だと話していたが、これまでは実質5バックになってしまうことが多く、ほとんど使い物にならなかった。そのことを考えれば、この2試合での「3-4-3」は、比較的バランスよく機能していた。
今回は国際Aマッチが2試合あり、活動日数も9日間と長かったこともあって、ザッケローニ監督が「この合宿のトレーニングではずっとやってきた」と話す「3-4-3」。集中的にトレーニングしてきたことが、ようやく実を結び始めてきたかにも見える。
とはいえ、言い換えれば、勝っている試合の、しかも残り15分程度の時間だけうまくいっただけ。「3-4-3」を使えるメドが立ったと考えるのは短絡的すぎる。それどころか、これだけ時間をかけてもこの程度にしか使えないシステムに、ザッケローニ監督はいつまでこだわり続けるのか。そんなふうにさえ考えることもできる。事実、今野は「(3-4-3がバランスよく機能していたように見えたのは)マイボールの時間が長かったから」と手厳しかった。
だが、指揮官が今回の一連のトレーニングで「3-4-3をずっとやってきた」のには、別の理由もあったのではないだろうか。
ヒントになるのは、DF伊野波雅彦が口にした次の言葉だ。
「3バックをやるための3バック(のトレーニング)とは限らない、という感覚はある」
伊野波は、グアテマラ戦翌日に「3-4-3」で行なわれた練習試合の後、「3バックは(相手がサイドチェンジしたときの)スライドを速くしなければならないので、すごくキツい」と苦笑いを浮かべ、こう話していた。
「3バックをやることでスライドが速くなるし、それをやっていれば4バックのときにもっと速くできる。4バックのための3バック(での練習)という部分はあると思う」
DF内田篤人もまた、「(3バックの)サイドはキツいけど、それに慣れてくればいい」と言い、こう語る。
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