【日本代表】福田×名波が指摘する「W杯8強へ、埋めるべき『世界との差』」 (2ページ目)

  • 小室 功●取材・文 text by Komuro Isao
  • 益田佑一●撮影 photo by Masuda Yuichi

――11年前の試合と比べて、足を滑らせる日本の選手が少なかったように感じました。

福田 そこはね、やっぱり慣れだと思う。ああいうピッチコンディションやプレイのスピード感、そしてハイプレッシャーが当たり前という環境の中で、欧州にいる日本の選手たちは日々試合をしている。だから必要以上に驚かないし、戸惑うこともない。平常心を保ってプレイをしていたと思う。もし日本でずっとプレイしていたら、いきなりあの環境には順応できないよ。それで、いつもなら転ぶはずのない切り返しやステップでピッチに足を取られたりしたら、余計に不安が増してジタバタしてしまう。自分だったら、最後までピッチに慣れないまま(試合が)終っちゃうだろうな(笑)。

名波 あのピッチでやる大変さは、実際にプレイした選手にしかわからないもの。日本の選手たちは、本当によくやっていたと思いますよ。それにフランスは、デシャン監督になって、選手たちの温度というか熱が高かったですからね。国民が「どうなの? ちゃんとやれるの?」という目で見ていたのもあって、選手たちからはやる気がすごく伝わってきていましたから。

福田
 フランスは日本戦のあとにW杯予選のスペイン戦を控えていたので、ベストメンバーではなかったけれども、逆にこのチャンスをモノにしたい、と思っている選手たちが張り切っていたしね。結果については、ちょっと偶然のような感じもあったけど、そういう相手の圧力があって、かなり劣勢の中で勝ちに持っていけたのは、日本が着実に力をつけてきたからでしょう。

――続くブラジル戦は0-4の完敗。力の差を見せつけられた気がします。

名波 フランス戦は勝ったとはいえ、自分たちがやりたいサッカーがまったくできなかった。ボールをつなげなかったし、相手のプレッシャーをかいくぐれなかった。そういうストレスが選手たちにはあったと思う。だから、ブラジル戦はどうなるか、すごく楽しみにしていたんだけどね......。

福田 まんまとやられたね。さすが、ブラジル。試合巧者だった。ブラジルに真っ向勝負を仕掛けたら、ああいうふうになる。やはり、あのレベルの相手になると、戦い方を考えないといけないだろうね。

名波 ただ、結果論だけど、ブラジル戦に前田(遼一)や岡崎(慎司)がいて、本田(圭佑)をトップ下で起用できたら、また違う展開になったんじゃないかな。横へのパス交換はあっても、(相手の)背後をとっていくプレイがまったく出せなかったからね。前への推進力が足りなかったのは、人の配置だとか、そういうタイプの前田や岡崎がいなかったことが影響していたと思う。

福田 力の差は認めざるを得ないけれど、世界のトップレベルを体感して、収穫もあったはずだよ。その点では、有意義な試合だった。とにかく、実際にやってみないとわからないことって、たくさんあるからね。

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