【ヤングなでしこ】テクニシャン・柴田華絵が身につけた「強豪と互角に戦うためのスキル」とは? (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei
  • photo by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

■世界の舞台で戦うために身につけた技術

 繊細なボールタッチと、相手の重心の逆をとるボディーバランスなど、そのプレイはマンチェスター・ユナイテッドで活躍する香川真司にもたとえられ、"女香川"と呼ばれるほどの高評価を得た柴田。特に目立ったのがボールを受けた時のターンの技術だ。

 この相手をかわすターンは、吉田弘監督がこだわって指導してきた技術のひとつで、代表のトレーニングメニューには必ず入っていたという。ヤングなでしこのキャプテンを務めた藤田のぞみもこう証言している。
「ゲーム形式の練習が終わって、これで終わったかぁと思うと、またターンの練習が入ってくるんです。選手の間では『締めのターン』とも言われていました」

 実際、柴田や藤田をはじめヤングなでしこの選手たちのターン技術の高さは、世界の大柄な相手に対しても、有効に機能していた。

「最初に吉田さんに見てもらったのが中2の時だったんですが、そのころからターンの練習はしていました」

 こう話す柴田のテクニックは、世代別代表に招集される前、小さなころから培ってきたものだ。

「北九州のクラブチームにいたころも、ドリブルとか、とにかく個人の技術を追求するチームだったので、ファーストタッチを意識することは小学生の時から言われていました。それから試合中、相手のタイミングをずらすことも意識していました。ボールがある位置にもよりますが、左のインサイドよりも右足のアウトサイドの方が蹴りやすいので、それで相手の裏をかいたり。でも、シュートはなんとなく左足の方が入るなっていう気はしています(笑)」

 また、大舞台で輝きを放つメンタルの強さも柴田の魅力だ。153cmの柴田にとってマッチアップした選手は大会を通じてほとんどが自分よりも身体の大きい選手だったが、「大きい相手の方が得意ですから」と力強い答えが返ってきた。

 準々決勝の韓国戦では先制点を決め、1対1に追いつかれた4分後には左足の無回転シュートを突き刺し、日本のベスト4入りを牽引。堂々たるプレイで国立競技場の2万4千人を沸かせた。

「一番緊張するのがアップの時なんです。最初にピッチに入った時にサポーターの数を見て、『おぉ!』とびっくりしました。お客さんが多くて圧倒されましたし、声援に後押ししてもらって力になりました。ただ、試合中は試合に集中してしまうので、緊張はありません」

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