【なでしこ】ベレーザ再生を担う、キャプテン岩清水梓とベテラン小林弥生

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko
  • photo by Hayakusa Noriko

ベレーザはキャプテンの岩清水を中心に前節の湯郷戦に勝利して、INAC神戸の優勝を阻止ベレーザはキャプテンの岩清水を中心に前節の湯郷戦に勝利して、INAC神戸の優勝を阻止「2012シーズンは難しいものになると思います」

 シーズン開幕を前にそう語った日テレ・ベレーザの野田朱美監督の言葉が思い出される。

 2012年はまさにビッグイヤー。夏のロンドン五輪までに、最後の追い上げとしてなでしこジャパンは強化合宿や海外遠征の予定がギッシリと詰まっていた。五輪が終われば、U-20女子W杯、U-17女子W杯と、それぞれの年代で世界大会が続く。ベレーザは各カテゴリーの代表選手を抱えていたため、トップチームがフルメンバーでトレーニングできる期間が限られる。今シーズンはギリギリの戦力で戦ってきたのだ。

 現在、なでしこリーグの首位はINAC神戸。勝点9差(10月27日現在)をつけられているものの、ベレーザは2位につけている。ここまで本当に苦しい戦いだった。野田監督の頭を悩ませていたのはケガ人の続出だった。新しく迎えた阪口夢穂は、なでしこジャパンでも不動のボランチを担うビッグネーム。期待通り、彼女の柔軟なプレイはチームに厚みをもたらした。

 だが、阪口もケガがちだった。また、五輪出場を目指して手術を受けていたFW岩渕真奈の回復も完全とは言えないまま。さらに若手成長株のDF村松智子もU-20女子W杯を目前に離脱。主力がどんどんピッチを離れていった。

 そんな中、人一倍焦燥感にさいなまれていたのが岩清水梓だった。キャプテンを任されて2年目。「1年目は何もわからないから......っていう言い訳もできた。でも、今年は違う。チームが苦しい状況だからこそ、まとめることが必要だったのに」と岩清水は振り返る。彼女もまた、ケガに苦しんだ。治りかけてはチームに貢献しようと無理をしてまたぶり返す。ケガとのにらみ合いは五輪直前まで続いた。

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