「ハマの番長」の背番号18を継ぐ小園健太がついに一軍デビュー ライバルであり親友でもある投手から託された想いに「やらなきゃいけない」 (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi

 腕の位置が下がっていた身体の使い方を改善した。するとフェニックス・リーグではボールが走り出し、さらに無四球試合をするなど効果が表われた。身体を縦回転させるための腕の角度の重要性を、小園は次のように語る。

「データに関して、僕は腕の角度を一番重視しています。調子がいいときは、時計の時針(短針)でいうと12時半から12時45分の角度になります。それが1時15分とか1時半とかになってしまうとボールにシュート成分が多くなり、自分の持ち味であるホップ成分が出なくなってしまうんです」

 最適な角度で投げることができると、ボールをしっかり前で押せるようになり、ストレートのスピン量が増えた。入団時、毎分2200回転だったものが、現在では球界トップクラスの2300〜2400回転となり、ストレートで空振りが取れるようになった。

 その後、小園は11月下旬から台湾で開催された2023アジアウインターベースボールリーグに参加し、4試合登板で2勝0敗、防御率1.42、19回を投げ13奪三振、3与四球、自責点3という成績を残している。制球も安定し、来季へ向け光が射した瞬間だった。

【胸に刺さった指揮官からのアドバイス】

 そしてオフになると、前年に引き続き涌井秀章(中日)の自主トレに参加し、アドバイスを受けるなどし、いい状態をキープするように努めた。

「涌井さんからは左肩の使い方について学びました。僕は左肩が開いてしまう癖があって、そうするとやはりボールがシュート回転してしまうので、とくにそこに関しては身になるアドバイスをもらいました」

 自分にとって何がベストなのかを選択することの大切さ。正直、これまでは経験も少なく、根が真面目なゆえに、あらゆるアドバイスを受け止めてしまい混乱していた部分もあったという。

「でも去年の終盤ぐらいからは、しっかりと取捨選択できるようになりました。一度は意見を受け入れて取り組むのですが、そのなかで必要だと思うことを分けて考えられるようになってきたと思います」

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