今中慎二が語る中日の命運を握る先発投手の課題 ドラ5右腕、左のリリーフ候補に注目 (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo

――ドラフト5位のルーキー右腕、土生翔太投手なども候補になるでしょうか。

今中 そうですね。開幕メンバーに入るかどうかは別として、現状の力を把握しておくことも非常に大事なことです。いい真っすぐを投げますし、魅力はありますね。変化球は精度を上げていかなければいけませんが、現段階でもある程度は通用しそうです。

――リリーフの左ピッチャーの枚数は、もう少し多いほうが理想でしょうか。

今中 バランスを考えると、左ピッチャーも何枚かいてくれるといいですよね。村上宗隆(ヤクルト)をはじめ、阪神にもいい左バッターが多いですから。現状だと齋藤と橋本でしょうか。球の強さからいうと、橋本に入ってきてほしいかなと。

――オープン戦での橋本投手のピッチングをどう見ていますか?

今中 いいボールは投げていますが、制球が課題です。「もったいないな」と思ったのは、ヤクルト戦(3月2日)で村上と対戦した場面。オープン戦ですし、思い切って真ん中で勝負して力試しをすればよかったのに、結局はフォアボールを嫌がってヒットを打たれた。悔いが残りますよね。真っすぐがどれだけ村上に通用するのか、たぶん首脳陣も見たかったでしょうから。

 ただ、キャッチャーとの兼ね合いもありますからね。まだオープン戦だからデッドボールなどのリスクも避け、思い切ってインコースに投げさせるよりもアウトコースに......とキャッチャーの木下拓哉も考えていたのかもしれません。ただ、バッターのことを考えるよりもピッチャーのことを考えてほしいですね。それは木下に限らず、キャッチャー全員に言えることです。ピッチャーの持ち味を確かめることを優先し、どのボールがどれくらい相手に通用するのかを見ておいたほうがいいと思います。

――先発陣同様、リリーフ陣も層が厚いので競争が激しくなりそうです。

今中 そうですね。絶対的なクローザーのマルティネスに、いかにつないでいくのか。レベルの高い競争を維持しながら、長いシーズンを戦っていってほしいです。

【プロフィール】

◆今中慎二(いまなか・しんじ)

1971年3月6日大阪府生まれ。左投左打。1989年、大阪桐蔭高校からドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。2年目から二桁勝利を挙げ、1993年には沢村賞、最多賞(17勝)、最多奪三振賞(247個)、ゴールデングラブ賞、ベストナインと、投手タイトルを独占した。また、同年からは4年連続で開幕投手を務める。2001年シーズン終了後、現役引退を決意。現在はプロ野球解説者などで活躍中。

プロフィール

  • 浜田哲男

    浜田哲男 (はまだ・てつお)

    千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。

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