「松井稼頭央監督は去年、苦しんだ部分もあったと思う」平石洋介が痛感したヘッドコーチの難しさ「確認しすぎることで監督を迷わせてないか...」 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki

 若手を積極的に起用し、野球の原点回帰を期して『走魂』を掲げ、走塁を重視した細かい野球にシフトして西武は可能性を見出した。しかし、シーズン5位という結果は事実として残るだけに、平石は「監督は手応えをほとんど感じていないと思います」と慮(おもんぱか)る。

【最大のウリは投手力】

 やるしかない──。今シーズン、西武はスローガンを『やる獅かない』と打ち出した。獅子の勇敢さ、猛々しさを打ち出すためでもあるが、平石は選手に釘を刺す。

「昨シーズンが終わってから『監督は2024年も特別なことをやろうとしているわけじゃなく、今までと変わらんぞ。そこだけはわかってくれ』と伝えました。"走魂"を掲げていないから『やらなくていい』なんて考えをしてほしくないですからね」

 西武が退路を断ち、走り抜くために不可欠なストロングポイント。それは投手陣だ。

 平石が「今年も先発ピッチャーを最大のウリにしないといけない」と自信を持つ布陣にはタレントが揃う。

 エースの高橋光成に今井達也、中継ぎから先発に転向し11勝をマークした平良海馬の「2ケタ勝利トリオ」。さらに隅田知一郎、松本航、與座海人と昨シーズンのローテーションだけでも厚みがあり、そこに期待のドラフト1位左腕・武内夏暉が加わる。

「先発はね、かなり競争は激しくなりますよ。渡邉勇太朗や浜屋(将太)だって黙ってないだろうし、先発にトライするボー(タカハシ)と青山(美夏人)も、未知数ですけど監督は期待しているでしょうしね。まだ体は出来上がっていませんけど、高卒3年目の羽田(慎之介)と黒田(将矢)にも出てきてほしい。豊田(清)コーチと青木(勇人)コーチは『バッテリーで3点以内に抑える試合を1試合でも多く』という明確な意思を持って指導してくれていますし、本当に楽しみですよね」

 12球団でも屈指のスターターを誇る西武にとって僥倖(ぎょうこう)だったのが、FAでソフトバンクへ移籍した山川穂高の人的補償で甲斐野央を獲得できたことだ。

「甲斐野が来てくれたのは大きかったですよ。個人的に人的補償の補強ポイントは、野手か中継ぎと思っていましたから」

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