元プロ野球・池田駿はシーズン中ロッカーでも試験勉強 公認会計士合格後のキャリアを語る (4ページ目)

  • 門脇正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

【選手のセカンドキャリアに貢献したい】

ーー公認会計士というと、監査法人や税理士法人で働くイメージがありますが、池田さんは講師という選択をしました。どうしてですか?

 現在、試験に向けてお世話になったCPA会計学院で講師をしています。僕自身、カリキュラムに沿って、しっかりとやってきたら合格できただけなんです。僕のように会計とか税務の知識がまったくなかった人間でもゼロから始めて公認会計士になれますし、前職が何であろうと、年齢も関係なく、誰でも公認会計士を目指せるということを伝えたいです。

ーーもともと池田さんは学校の先生になりたかったとのことで、ある種、つながってきますね。

 そうですね。僕が教えるのは租税法の科目になりますが、プロ野球選手時代の税金の話もちょっと交えながらするとイメージしやすいのかなと思いますし、他の講師との差別化も図れるかなと思っています。

ーー将来的には、スポーツに関連する業務もしたいですか?

 先々、スポーツ選手に対していろんなことができるような気はしています。それこそ、インボイス制度が始まったじゃないですか。そういうなかで、新人選手などに制度についてだとか、年俸1000万円だと税金はこういうふうになるとか、ちゃんと説明してあげたいと思っていますね。それと、選手のセカンドキャリアにも興味があります。

ーーセカンドキャリアですか?

 どんなセカンドキャリアでもいいんですが、プロ野球選手が現役中に次のキャリアを考えられる機会をもっと増やしていきたいとは思っています。以前と比べたらちょっとはそういう機会があると思うんですけど、まだまだですね。

 セカンドキャリアについて考えている選手は少ないと思いますし、そもそも野球界自体が現役時代から次のことを考えるというのにあんまりよく思わない感じがあって。プロ野球出身で初の公認会計士になった奥村武博さん(元阪神)もプロ野球選手にセカンドキャリアについていろいろと支援活動をされていて、先日お会いした時も問題意識をお聞きしました。僕も、少しでも貢献できるような活動をしていきたいと思っています。

ーー最後に受験や試験に向けて頑張っている読者に向けて、アドバイスをお願いできますか?

 やっぱり、勉強をするのはけっこうしんどいと思うんですよ。でも、勉強する習慣をつけられれば苦じゃなくなります。僕は、最初は1時間でも2時間でも、とにかく休む日をつくらないで短時間でも机に向かう時間をつくる意識をしました。毎日机に向かうのが当たり前になると、つらさは和らぐので、習慣づけはすごく重要なのかなと思います。


終わり

前編<元巨人左腕・池田駿が難関国家試験に合格 野球は「戦士」公認会計士は「魔法使い」?>を読む

撮影協力/CPA会計学院


【プロフィール】
池田 駿 いけだ・しゅん 
1992年、新潟県生まれ。新潟明訓高では投手として夏の甲子園8強進出し、日米親善高校野球の全日本選抜チームに選出される。その後、専修大を経て、2015年にヤマハ入社。2016年の社会人日本選手権で優勝。2016年ドラフト4位で巨人入り。1年目に33試合に登板。2020年途中に楽天へ移籍し、2021年シーズン後に現役引退。2023年、公認会計士試験に合格。現在は、公認会計士資格スクール「CPA会計学院」で講師を務めている。

プロフィール

  • 門脇正法

    門脇正法 (かどわき・まさのり)

    マンガ原作者、スポーツライター。1967年、埼玉県生まれ。日本女子体育大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。アニメ『ドラゴンボールZ』の脚本家である小山高生氏からシナリオを学び、マンガ原作者デビュー。特にスポーツアスリートの実録マンガを得意としており、『世界再戦ー松坂大輔物語ー』(集英社/少年ジャンプ)、『好敵手ー室伏広治物語ー』(同)、『闘球「元」日本代表ー福岡堅樹物語ー』(集英社/ヤングジャンプ)の原作を担当。現在はマンガの原作だけでなく、「少年ジャンプ」のスポーツ記事特集『ジャンスタ』を中心に、『webスポルティーバ』の「文武両道の裏側」など、スポーツライターとしても活躍中。著書に『バクマン。勝利学』『少年ジャンプ勝利学』(ともに集英社インターナショナル)などがある。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る