カープ投手陣の深刻な勤続疲労 大阪桐蔭・前田悠伍よりもドラフトで獲得すべきは? (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 もちろん、この前田を1位で指名してもいいのだが、大学生投手に近未来のエース候補が居並ぶ今年、彼らのなかから獲得するのが現状を考えればベストな選択か。

 ポテンシャルとスター性を兼備しているとすれば、常廣羽也斗(青山学院大/180センチ・75キロ/右投右打)、西舘勇陽(中央大/185センチ・80キロ/右投右打)が候補に挙がる。

 どちらも他球団との競合が考えられるため、その時は草加勝(亜細亜大/182センチ・76キロ/右投右打)や村田賢一(明治大/181センチ・87キロ/右投右打)といったゲームメイク能力に長けた投手を指名してもいいだろう。

 また地元・広陵高で同期だった石原勇輝(明治大/180センチ・85キロ/左投左打)と高太一(大阪商業大/180センチ・80キロ/左投左打)も、大学での4年間で著しい成長を見せている。ひとりでも多く投手がほしい現状を鑑みれば、彼らも指名候補に入るだろう。

【坂倉将吾のバックアップは必要】

 野手はどうか。今シーズンの広島の「敢闘賞」を挙げるとすれば、捕手の坂倉将吾だろう。113試合にマスクを被って、打率.266、12本塁打。本人はまだまだ納得していないだろうが、レギュラーマスク1年目としては立派な数字だ。

 来季以降も正捕手として坂倉には大きな期待がかかるが、万が一に備えて、当然バックアップも必要になる。今季は経験豊富な會澤翼がその役割を担ってくれたが、今までどおりというわけにもいかなくなるだろう。

 注目選手は、社会人の城野達哉(西濃運輸/179センチ・84キロ/右投右打)。今年5月に行なわれたベーブルース杯(東海地区を中心とした社会人チームの大会)で5打席連続本塁打の離れ業をやってのけた強打・強肩の捕手だ。

 そしてこの2年間、遊撃手を獲っていないのも心配だ。今季の広島はショートストップ不在みたいな1年だったが、ビシッと守れる遊撃手なら松浦佑星(日本体育大/174センチ・74キロ/右投左打)だし、将来性なら百崎蒼生(東海大熊本星翔高/180センチ・76キロ/右投右打)がイチオシだ。ただし、ふたりとも下位で獲るのは容易ではない。今年はそういう「やりくり」が難しいドラフトになりそうだ。

プロフィール

  • 安倍昌彦

    安倍昌彦 (あべ・まさひこ)

    1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。

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