いざ常勝軍団へ。ロッテ・井口監督が明かす令和のデータ野球「すごい時代になりましたよ」 (4ページ目)

  • 村瀬秀信●文 text by Murase Hidenobu
  • photo by Chiba Lotte Marines

もう下剋上は許さない

── 3年前に「チーム戦略部」を立ち上げてから、設備面でも大きく投資しデータを重視した選手運用をはじめています。今季もコーディネーターコーチを新設して、フロントと現場、全選手を統括する新たな仕組みづくりを進めているようですが、手応えのほどはいかがでしょうか。

「コーディネーター部門に関してはまだはじまったばかりで手探りの状態でもあるんですけど、これからどういう形で運用していくのか、いろいろな人と話し合いながら考えているところです。それ以外の部分では今シーズン、アナリスト部門がさらに強化されていますね。いや、本当にすごいですよ。僕らの時代はバッティングゲージのうしろには焚き火しかなかったですけど、今はゲージも含めグラウンドのあらゆるところからカメラで映像を捉え、選手の動きをさまざまな観点からデータ化し、それを分析してくれる。すごい時代になりましたよ」

── 去年、初の全試合出場を果たした荻野貴司選手が「試合中の全走行距離を計測してデータ化し、ケガを未然に防ぐ運用がされていた」なんて聞くと、「令和のロッテは焚火より、データがアツい」という話も現実味のある話として受けとれますね。

「データがすべてに当てはまるわけではないですが、本当に選手が言い訳できないぐらい詳細なデータが出てきているので、これを活用しない手はない。そのうち、サインのタイミングとかもAIでやったほうが、確率が高くなる時代がくるんじゃないですか。そうなると監督も......いらなくなるかもしれませんけどね」

── ただこれだけ莫大なデータ量になってくると、これを用いる監督としてはどのデータを入れるのか、取捨選択で苦労されているんじゃないですか?

「僕自身も勉強しながらではありますが、データをどのように活用していくかは、アナリストと話しながら、いろんなケースに合わせて日夜シミュレーションを繰り返しています。ただ、我々が気をつけなければいけないのが、データに埋もれて頭がいっぱいになってしまうこと。とくに選手たちの思考は、シンプルにしてプレーさせることが必要です。頭でっかちになっている選手には、逆に余計な考えを削ぎ落してから試合に挑ませてあげたいなと思っています」

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る