井端弘和、片岡治大をダブル獲得した巨人の真の狙い (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Nikkan sports

「中井への期待は確かに大きいと思いますが、タイプ的にセカンドではない。原監督としてみれば、将来的にファーストかサードで起用したいんじゃないでしょうか。井端を獲得したのは、右の代打と内野のバックアップ要員としてでしょう。巨人は谷(佳知)が移籍し、古城が引退しました。言ってみれば、右の代打と内野のユーティリティを失った。でも、井端ひとりでこのふたつをまかなえる」(金村氏)

 また、評論家の与田剛氏は、片岡、井端獲得の狙いを次のように説明してくれた。

「原監督は、1年間、いかに戦力を落とすことなく戦うかを考えていると思います。そのためには各ポジションのレベルアップが必要だと考えたのでしょう。寺内も意外性のある選手ですが、1年を通してとなるとやはり打撃に課題を残している。少なくとも2割7分~8分打ってくれればいいのですが、正直、そこまで期待できない。これまで磐石のレギュラーだった坂本勇人も、腰痛の影響もあって後半戦は調子を落とした。巨人は坂本の控えがおらず、調子が悪くても使わざるをえなかった。でも、井端が加わったことで、調子が悪ければ代えることもできますし、万が一、何かあった時でも戦力を落とさずに戦える。このふたりが加わったことで、層は格段と厚くなりました」

 ここで今季の巨人のポジション別の打率を見てみたい。

捕手  .275
一塁手.308
二塁手.225
三塁手.313
遊撃手.264
左翼手.280
中堅手.285
右翼手.246

 これを見れば、セカンドの打力が他のポジションと比べて、弱いのがわかる。また、内野でいえばショートも今季は苦戦した。もちろんこれは、今季136試合にショートのスタメンを任された坂本の打率(.265)を反映しているわけだが、与田氏の指摘にもあった通り、腰痛を抱えた坂本の控えがいなかったことを証明している。二遊間を底上げできれば、より強力な打線が完成し、1年を通して安定した戦いができるのは間違いない。それに守備面での期待も大きい。特に井端はゴールデングラブ賞を7度受賞しており、腰に爆弾を抱える坂本の守備固めとしての起用も十分に考えられる。

 日本一奪回に向けての準備は整った。あとは原監督が選手の状態を見極め、うまく起用できるかにかかっている。各ポジションに大きな穴がなく結果を残した時にはじめて、「このオフの補強は大成功だった」と言えるのかもしれない。いずれにしても、来季の原監督の采配には注目だ。

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