交流戦2位。楽天の強さはホンモノか? (2ページ目)

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 マーティ・ブラウン監督時代の2010年に打率.315をマークし、ゴールデングラブ賞にも輝いた嶋だが、昨シーズンはリード面で星野仙一監督から厳しい評価を受け、91試合の出場にとどまった。

 しかし、今シーズンは開幕からほぼ全試合でスタメンマスクを被り、リードはもちろん、打撃面でも頼りになる活躍を見せている。田中以外は決して好調とはいえない投手陣が、なんとか持ちこたえているのは、嶋のリードによるところが大きいと見る人も多い。

「美馬(学)、塩見(貴洋)、釜田(佳直)といった期待の先発候補がみんな不調で、本当なら大誤算なんですが、それでも大きなほころびが出ていないのは、嶋の力が大きいと思います」

 昨年まで楽天でプレイしていた山村宏樹氏も嶋を高く評価するひとりだ。

「何といっても、今年は開幕からほとんどスタメン出場していることがいい影響を及ぼしています。ずっと試合に出ているから、投手の好不調をしっかり把握できる。投手の状態と特徴に合ったリードができているんです」

 山村氏によると、今年の嶋のリードには大きな変化が見られるという。

「内角の使い方です。以前の彼は強気というか、どんな投手にでもインコースを投げさせる傾向がありました。もちろん、インコースを攻めることは打者を打ち取る上では欠かせません。とはいえ、持ち球や投手の状態を考えずに投げさせると痛い目にあうことが多い。昨年まではセオリー通りの内角攻めをしてやられる場面が多かったのですが、今年は無理にインコースを突くことがなくなりました」

 楽天の先発投手はほとんどが右で、それもストレートとスライダーのコンビネーションで打ち取るタイプが多い。これまでの嶋なら、インコースを見せてからスライダー勝負という配球が多かったのだが、今年はスライダーを主体に外中心の攻めを見せているのだという。セオリーをひとまず置いて、臨機応変に。ひと回り成長したリードが、先発陣の粘り強い投球につながっているのだろう。

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