【プロ野球】鉄人語録で振り返る、金本知憲「不屈の21年」 (4ページ目)
2012年、金本は6月に史上最年長44歳2カ月で大学出身選手としては初の快挙となる2500本安打を達成するが、調子は一向に上がってこなかった。そして、ついに今シーズン限りでの引退を発表した。
「自分に対する限界かな。最初と最後の3年は、こんなに苦しい人生があるんだっていう3年だった」
「自身にとって野球とは?」という問いに対し、「人生そのものです。10歳から野球を始めて、7から8割がしんどいことばかりで、残りの2から3割が喜びというか充実感で、その少しの喜びを求めてやってきました。そんな野球人生です」と振り返った。
10月9日に甲子園で行なわれた引退セレモニー。金本は、日本一になれなかったことを心残りだと語り、ファンの歓声の中、スポットライトを浴びながら現役最後の言葉を述べた。
「最後にファンの皆様に一言。本当に夢をありがとうございました。そして、野球というスポーツ、野球の神様、ありがとうございました」
感謝を忘れず自分には徹底的に厳しい。他人には、きついことを言うことはあってもユーモアをまじえ必ず逃げ道を作ってあげる優しさがあった。そして、背中で語る無言のメッセージ――アニキと呼ばれた男は、たしかに記録に残る選手ではあるが、それ以上に記憶に残る選手であったことは間違いない。
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