ドジャース投手陣の苦しい台所事情 再構築のカギは山本由伸以外の新戦力と若手の台頭 (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hidek

【メジャー昇格の若手が刺激になるか?】

 フリードマン編成本部長の当初のプランでは、こういった若手は4月の時点ではまだマイナーリーグにいたはずだ。しかしオフに計画したとおりにいかないのは、メジャーリーグの常。ブルペンについては、昨年24セーブをあげたクローザーのエバン・フィリップス(29歳)とともに、ブラスダー・グラテロル(25歳)とブレイク・トレイネン(35歳)が軸になるはずだったが、グラテロルは肩のケガで60日間の負傷者リスト入り、トレイネンはオープン戦でピッチャー返しの打球を受け肋骨を骨折した。

 ベテランのジョー・ケリー(35歳)は防御率7.27、ブレージャーは5.00の不振。先発投手も5番手のストーンは3試合で防御率6.14と不安定。そのストーンと5番手の座を争っていたエメット・シーハン(24歳)は前腕の痛みで60日間の負傷者リストに。マイケル・グローブ(27歳)はブルペンに回ったが、6試合で防御率6.75だ。

 ドジャースは格下のはずのナショナルズに本拠地で1勝2敗と負け越すなど、直近の5シリーズで4度も負け越した。チーム状態は良くない。しかし先発ではハートとナック、リリーフではラミレス、バナスコが昇格し好投したのが好材料。彼らがチームに良い刺激を与えたことで、不振のベテランも負けじと奮起してくれるだろう。

 2022年に肘側副靭帯再建術(通称トミージョン手術)を受けた元エース、ウォーカー・ビューラー(29歳)も間もなく復帰してくる。ケガ人が戻り、それぞれの調子が上がってくれば、もっと強いチームになるのは間違いない。

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プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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