韓国の大谷翔平ファンクラブ会長にインタビュー 「同じポルシェまで購入しました」 (2ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文 text by Yoshizaki Eijinho

【ファンクラブ開設の葛藤】

 しかし、強い思いにも、いざ「オープン」となると本人の想像した以上に躊躇いを感じたのだった。

「サイトの『公開』ボタンが押せなかったんですよ。コンテンツの設定はすべて終え、あとは押すだけだったんですが...。大きな批判が巻き起こることが頭をよぎった。『親日派(日本の統治時代に日本側に味方をして当時の朝鮮半島の人たちから暴力・搾取をし、社会的にのしあがった層)』と言われたらどうしよう、などと」

 ファンクラブ開設前からも、「大谷好き」として活動するイ氏に対して「なんで日本の選手を応援するんだ」という声がインターネットの掲示板で「本当に、本当にたくさん」(本人)書き込まれた。本人の大谷好きが高じて2023年11月に出版された自著『大谷のようにポルシェに乗る』ではこう綴られている。

イ・ジェイク会長は、大谷愛を綴る書籍も出版しているイ・ジェイク会長は、大谷愛を綴る書籍も出版しているこの記事に関連する写真を見る「キム・ヨナではなく、浅田真央を応援するのと同じじゃないか、という感情的な書き込みさえもあった」

 ただ自身もそれが理解できる部分もあった。「なぜなら僕自身も最初は『韓国をナメているのか?』という反発がスタートでしたから」。

 さまざまな感情は理解できても、いざ「日本人選手」のファンクラブを開設するとなると躊躇いがあった。「公開」のボタンが押せず、1カ月、2カ月と時が過ぎていく。「決断」したのは、夏が終わり秋に差し掛かった2022年10月7日だった。

「2022年、打者として規定打席に達し、投手としても規定投球回数に達したでしょう? もはやそんな躊躇いよりも、彼の偉大さのほうが勝ると思ったんです。人間の限界を超えた境地に達している人物と、同じ時代に生きているわけです。それを見なかったり、応援しない手はありますか?」

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