吉田正尚「楽しい......うーん」オリックス時代とメジャー1年目の違いを明かす (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

【「今は『毎日、必死になんとか』という気持ち」】

 シーズンを通じて新たな投手と対戦し続け、高水準の球を見極めなければいけない大変さは生半可なものではないだろう。ルーキーには心身の疲労が知らず知らずのうちに溜まるのも、多少の好不調があるのも無理はない。

 ただ、逆に言えば、そんな厳しい環境だからこそ、すぐに好結果を出すことの価値は大きい。1年目から打率3割前後の数字を残している吉田は、最高レベルでも通用する技量の確かさを証明していると言えるはずだ。

「日本の時は先を見ていたのが、今は『毎日、必死になんとか』という気持ち。すごく新鮮な気持ちで臨めていますよ」

 ハードなルーキーシーズンの中でも、そんなふうに笑えるのが職人気質の吉田らしいところでもある。試練があるから、さらに成長できる。難しいからこそ、得られるものも大きくなる。いわゆる"ノー・ペイン、ノー・ゲイン"の日々は、楽しいものでもあるのだろうか?

「楽しい......うーん。苦しいとか、悔しいとかはありますけど、楽しいかはどうですかね。その時は苦しいですけど、最終的にはそう思えればいいかなと。やりがいがあるという感じです」

 2023年のシーズンも残りあと1カ月強――。試行錯誤を繰り返しながらも、最後まで安定して打ち続けられるのか。逆境を跳ね除け、チームをポストシーズンに導くことができるのか。ワールド・ベースボール・クラシック優勝から始まった1年を「楽しかった」と振り返るべく、吉田がメジャーリーグで紡ぐストーリーもクライマックスを迎えようとしている。

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