投手・大谷翔平も今季は「ヤバイ」。斎藤隆が見た明らかな変化、超一流の証 (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 大谷やダルビッシュ有(パドレス)がメジャーに移籍して以降、テイクバックが小さくなったのは必然と言えるかもしれない。その裏には、アメリカの環境に対応することと、斎藤氏が説明したような理屈があると考えられる。

 メジャーでもトップクラスの才能を秘める両右腕に加え、近年、日本人投手の投げ方には変化が見られ始めている。斎藤氏が説明する。

「昔の日本の球場はマウンドの傾斜が小さいから、ピッチャーのひざに泥がついていました。僕の現役時代は『泥がつかないピッチャーは二流だ』と言われました。傾斜がないほど平らなマウンドで、低めの打たれにくいところに投げようと思ったら、沈み込んで押し出すような投げ方になりますよね。

 ただ、アメリカでは押し出して投げるようなピッチャーはほとんどいません。それは体幹の使い方と、マウンドの固さが関係していると思います。日米ではそうした"スタート"が違う一方、ようやく今、日本のピッチャーが変わってきた。球場のハード面が世界基準になるなかで、日本のピッチャーのレベルも上がっていると思います」

◆田中将大に違和感あり。斎藤隆「大変な作業を各回、各打者にやっている」>>

 日本のプロ野球では近年、メジャーのようにマウンドの土を固くする球場が増えてきた。環境が変わるなか、どんな投げ方にすれば質の高い球を投げられるのか。日本人投手たちがそう模索する一方、アメリカに渡ってプレーする者が増え、彼らを通じてもたらされる情報も多くなっている。そうして相対的に日本人投手のレベルが上がってきた。

 その頂点にいるひとりが、大谷翔平だ。世界でも類まれな才能を誇る右腕は、メジャー4年目の今季どんな投球を見せるのか。注目のシーズンがいよいよ始まる。

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