【MLB】アスレチックスが高い評価を下した、中島裕之のメンタリティー

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • アフロ●写真 photo by AFLO

入団会見で笑顔を見せる中島裕之。背番号は西武時代と同じ「3」に決まった入団会見で笑顔を見せる中島裕之。背番号は西武時代と同じ「3」に決まった アスレチックスの本拠地オークランド・コロシアムで行なわれた中島裕之の入団会見は爆笑の渦に巻き込まれた。過去に何人もの日本人プレイヤーが英語で入団会見に挑んだが、最初の言葉は決まって「My name is ......」から始まる自己紹介だった。だが、中島は違った。

「Hi Oakland!」

 これには地元メディアが大喜び。中島の横に座ったビリー・ビーンGMも思わず吹き出すほどだったが、この後がまた傑作だった。アスレチックス入団の決め手を問われた中島はこう語った。

「ビリー・ビーンGMが格好いいから」

 そして、この言葉を通訳氏が「Billy Beane is extremely sexy & cool」(ビリー・ビーンほどセクシーでクールな人がいないから)と訳したものだからもう大変。ビーンGMは顔を真っ赤にして笑い、「このチームはセクシーでクールがすべて。ヒロも頼むぜ」と応戦すると、アスレチックス番を14年間も務めるサンフランシスコ・クロニカルの女性記者スーザン・スラッサー氏は、「こんなに面白い会見は初めてだった。ヒロは最高よ」と、すっかり心を奪われていた。まさにつかみは完璧。中島は米国で最高のスタートを切ったのだった。

 ストーブリーグの始まりとともに、アスレチックスは積極的に中島にアプローチした。その理由は、遊撃手不在のチーム事情だった。

 今シーズン途中にダイヤモンドバックスから獲得したショートのスティーブン・ドリューはFAの権利を行使し、先日レッドソックスとの契約合意が発表された。また、ドリューの加入前にショートのレギュラーだったクリフ・ペニントンは、10月末にダイヤモンドバックスにトレードされており、実質、ショートを専門とする内野手はチームに誰もいなくなっていた。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る